7月14日の衆院予算委で「集団的自衛権の議論が(滋賀県知事選に)影響していないと申し上げるつもりは毛頭ない」と述べた安倍首相 (c)朝日新聞社 @@写禁
7月14日の衆院予算委で「集団的自衛権の議論が(滋賀県知事選に)影響していないと申し上げるつもりは毛頭ない」と述べた安倍首相 (c)朝日新聞社 @@写禁

 公明党に圧力をかけ、何とか7月1日の閣議決定にこぎつけた安倍晋三首相(59)。しかし、その前後の新聞各紙の世論調査によると、内閣支持率は読売48%、毎日45%、共同通信47.8%。政権発足以来、軒並み最低水準を記録。「いま解散したほうがマシ」なんて声も上がり始めた。

 国会議事堂から道路を隔てた向かいに立ち、衆参両院議員の事務所が入る議員会館。通常国会が閉会した後の7月は、議員が外遊や視察に行くため、やや閑散としている。だが、今年はそうした事情を差し引いても、議員の姿が見られない。

 それもそのはず、自民党中堅・若手議員の間で「9月解散、10月選挙」の話が広まり、みな地元活動に精を出しているというのだ。関西地方の1年生議員は言う。

「通常国会閉会(6月22日)の1週間ほど前から急に『9月解散』の話が広まってきました。はじめは夏の地元活動を怠らないように幹事長室が意図的に流した“脅し”かと思いましたが、話の出どころは官邸。菅義偉官房長官らが『野党の態勢が整わない今こそがチャンス』と考え、準備に動いているという具体的な話まで伝わってきた。それでみな蜘蛛(くも)の子を散らすように、地元に帰っていったんです」

 別の中堅議員も「9月解散のウワサは聞いた」とした上で、「安倍政権はこの秋から来春にかけてイバラの道。いま取り組む拉致問題の進展などを起爆剤にして、9月に解散に踏み切っても不思議ではない」と声を潜める。

 逆風の最大の要因は憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認だ。

 安倍首相は5月15日の記者会見で「抑止力が高まり、わが国が戦争に巻き込まれなくなる」と力説し、与党協議をスタートさせた。しかし、自民と公明の議論はかみ合わず、政府側の説明もあいまいな部分が少なくなかった。「進め方が強引」「アメリカの言いなりになり、逆に戦争に巻き込まれる」。そんな不安を抱く国民は多い。

週刊朝日 2014年8月1日号より抜粋