「屋内退避といっても、要援護者をサポートする人も必要だし、食糧や水などのライフラインも必要になる。それらをどうやって確保するのかも、まだ考えられていないのです」

 これが、安倍首相が胸を張る「世界一の安全基準」の実態である。

 16日の会見で、田中委員長は高浜原発(福井県)について「ほぼ論点は整理されてきている」、玄海原発(佐賀県)について「相当のところまで詰まったと感じている」と語り、次なる“合格候補”に挙げた。

「原発再稼働を乗り切れるか。これが安倍政権の最大の試練」(自民党議員)

 川内原発で前例を作り、政府は再稼働の量産体制に入ろうとしているのだ。

「今回、審査書案を出すのを当初の予定より1週間遅らせたのは、13日に投開票があった滋賀県知事選への影響を恐れたからでしょう。規制委は政府と一体となって再稼働に邁進している」(前出の飯田氏)

 3・11前の構図が再び、復活していたのである。

(本誌・小泉耕平/桐島 瞬)

週刊朝日 2014年8月1日号より抜粋