石川遼選手の久々の優勝が話題になった長嶋茂雄招待セガサミーカップゴルフトーナメント(7月3~6日、北海道・ザ・ノースカントリーGC)。先輩である丸山茂樹氏は石川選手を“持っている”と称賛するが、疑問に思うことがあるという。

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 長嶋茂雄招待セガサミーカップゴルフトーナメントは、石川遼の国内ツアー11勝目で盛り上がりました。

 でもまず、僕の話からいかせてください。ホストプロとして今季初戦に臨んだのですが、やはり練習不足がたたって、初日3オーバー、2日目4オーバー。予選落ちに終わりました。パッティングがうまくいけば予選は通った気がしないでもないんですが、それも含めて練習ができてないせいですから、結果を受け入れるしかないですね。

 そして9月に、痛めている左手親指付け根の手術を受けることにしました。慢性的な亜脱臼に悩まされて、ここ3、4年でいろんな治療法を試しましたけど、前進がなかった。ここで一回思い切って、メスを入れてみます。結果は未知の世界ですけど、立ち止まってもいられないんで。みなさん、温かく見守っていただければ、と思います。

 さて遼です。最終日はトップの小田孔明に2打差の3位でスタートし、13番で追いつき、14番でつけられた1打差を18番で追いついて。プレーオフ3ホール目で競り勝ちました。

 パワフルで攻撃的なゴルフはそのままに、「守り」もうまく使いこなせてるなあ、と感じましたね。米PGAツアー参戦2年目でいろんな経験を積んでいる分、小技も冴(さ)えました。

 
 技術面以外で改めて感じたのは、日本だと、遼の勝ちパターンにどんどん入っていきますよね。運も味方して。やっぱり彼は「持ってるな」ってのがありますよ。最終日は18番を4度プレーしたんですけど、2度はティーショットを右に曲げてる。それでも球はどちらも2オンを狙える場所にとどまってた。

 あの18番はなかなか何度も続けてバーディーをとれるホールじゃありません。それを4度連続なんて。もちろん立派なんですけど、よっぽど遼に合ってたんでしょうね。米ツアーだったら、あんなふうにプレーオフで18番だけ繰り返すなんてありません。16番や17番も使ったでしょう。遼にとって相性抜群のホールで繰り返されたプレーオフ。確実に持ってますね。

 米ツアー初優勝も時間の問題だと思いますよ。これでずっと勝てなかったら、アメリカで「持ってなさすぎ」ですよ。

 遼が今回、米ツアーを1カ月半も休んで北海道で合宿してるってのは、僕にはよく分からないです。アメリカですればいいじゃないですか? わざわざ日本でしなくても。気分転換なのか、何なのか。やっぱりアメリカでの生活になじめないのかな、なんて思っちゃいます。

 確かに遼は米ツアーで来季のシードを確実にしています。だけど僕が彼の成績だったら、ずっとアメリカで試合に出続けてます。僕自身が米ツアーに参戦してるときは、日本に帰ってくるなんて考えもなかった。やるからにはアメリカできちんとした成績を残していきたいと思ったんで。

 日本に戻ったら、いろんな付き合いがあって集中できませんしね。ただ、今の若い子たちは、そういうのをバサッと断る。まあ、そういう時代のプロゴルファーなのかな、と思います。

週刊朝日  2014年7月25日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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