室井佑月「なぜ子どもをわざわざ福島へ連れていかなきゃいけないの?」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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室井佑月「なぜ子どもをわざわざ福島へ連れていかなきゃいけないの?」

連載「しがみつく女」

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 逆じゃないの? 福島の子どもたちを、被曝の影響があるかどうかまだわからない場所から、一時でも避難させたほうがいいのでは……そういう考えになぜならない?

 事故当時よりはずいぶんマシになったとはいえ、まだ汚染水は漏れているし、まだ放射性物質も漏れている。そして、一歩間違えばさらなる大事故につながるといわれている燃料取り出し作業をしている最中だ。

 政府は福島へいって(住んで)「大丈夫」という人間が増えれば、それが真実だっていいたいのか。

 だとすれば、健康被害を受けたといっている少人数の人間は、嘘をついていることになるのか。大丈夫じゃなかった人には、大丈夫じゃなかったということが真実だろう。

 政府の意見が正しいことの証明に、子どもを使うのはやめてくれないかな。大丈夫であることの証明に、子どもを使うって野蛮すぎる。

 大丈夫じゃなかった人たちはなぜそうなったのか……そこの部分の追及・解明に命をかけることこそ、今の大人のやるべきことだとあたしは思う。

 集団的自衛権に対してもそうだよ。日本の若者も血を流さないと?

 まず先に、どうすれば日本の若者が血を流さずにすむのか。そこに命をかけることこそ、今の大人が頑張ることだろ。

 そういえば集団的自衛権の閣議決定案には、公明党の意向を踏まえ、

「紛争が生じた場合にはこれを平和的に解決するために最大限の外交努力を尽くすとともに(中略)」

 という文が新たに明記されたとか。そんなこと当たり前だと思っていたが、当たり前のことが当たり前でなかったりするから。

週刊朝日  2014年7月18日号


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室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中。

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