多額の補助金、寄付などを狙って、被災地に付け入ろうとする“義援金ゴロ”が暗躍している。こんな不埒もののために、被災地の復興が停滞したらたまらない。ジャーナリストの桐島瞬氏が問題に迫った。

 福島で、寄付金の着服も起きていた。毎年4月半ばに開かれる「アースデイ東京」。環境省などの中央省庁や旭化成ホームプロダクツ、キリンといった大手企業が後援や協賛に名を連ねる環境ビッグイベントだ。

 ここに、東日本大震災後から「キッズウィークエンド~福島こども保養ツアー~」と呼ばれるプログラムが加わった。福島の子供たちに2泊3日のスケジュールで、郊外の自然のなかなどで過ごしてもらう取り組みだ。今年も150人が参加した。420万円ほどかかる費用の多くは協賛企業などからの寄付で賄われている。

 だが、この一部が保養担当者によって私的流用されたことが発覚した。関係者が説明する。

「協賛企業が、自社商品の売り上げの一部を助成金として保養ツアーに寄付しています。ツアーの運営は福島市にある『子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク』(以下、子ども福島)という団体。ところが、ここの保養担当者Y氏が経費を不正に精算し、二重、三重請求していたのです」

 Y氏は40代後半。福島で被災した子供たちの保養分野では、第一人者と呼ばれる人物だ。全国各地での講演などにも呼ばれている。

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