西宮から一躍“全国区”となった野々村県議(7月1日、神戸市内で)(c)朝日新聞社 @@写禁
西宮から一躍“全国区”となった野々村県議(7月1日、神戸市内で)(c)朝日新聞社 @@写禁
会見で号泣したり、耳をすませたり……(c)朝日新聞社 @@写禁
会見で号泣したり、耳をすませたり……(c)朝日新聞社 @@写禁

「世の中を……あああ……変えたいという一心で訴えて……やっと議員になったんですう!」

“号泣県議”としてすっかり有名になった兵庫県議会の野々村竜太郎県議(47)。昨年度1年間に195回も出張を繰り返し、政務活動費から約300万円を支出しながら、領収書の添付も目的の記載もないことをメディアに追及され、釈明会見の場での“号泣”だった。

 野々村氏は大阪府出身。府立北野高校、関西大学を卒業。兵庫県川西市の職員となった後、政界進出を目指した。2008年から兵庫県の太子(ちし)町長選、西宮市長選などに出馬しては落選。5度目の挑戦となった11年4月の県議選で西宮市選挙区から無所属で初当選した。この選挙で野々村氏は、当時躍進していた「大阪維新の会」と無関係なのに、「西宮維新の会」を名乗って活動していた。

 号泣が話題になったが、コトの本質は政治資金の問題だ。ある県議は、

「カラ出張ではないかという声は多数出ていますね」

 と漏らす。野々村氏の昨年度の収支報告書によると、問題となった出張はすべて日帰り。東京に11回、福岡に16回、兵庫県豊岡市の城崎(きのさき)温泉に105回、兵庫県佐用町に63回。支出された約300万円は鉄道の切符代で、新幹線などはグリーン車の料金。報告書の名目は「要請陳情等活動費」とあるが、出張の目的や具体的な活動は一切書かれていなかった。

 報告書を見ると、今年3月6日、野々村氏は佐用町に行ったと報告。だが同日、JR大阪駅近くで、2万9770円分の切手を買った領収書もある。野々村氏の住む西宮市から、大阪駅と佐用町は反対の方向だ。

 昨年5月7日には、JR博多駅に行ったと報告。しかし、野々村氏の自宅近くの量販店で3回にわたり消耗品を買った領収書も計上されている。日帰り出張でそんな時間があったろうか。

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