田原総一朗「公明党なしではバランスが取れない自民党の危なっかしさ」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「公明党なしではバランスが取れない自民党の危なっかしさ」

連載「ギロン堂」

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 私が言いたいのは、かつての自民党なら、今回の公明党との論争が、自民党内部で行われたはずだということだ。自民党は国民政党であった。

 かつて湾岸戦争のとき、ときの自民党幹事長であった小沢一郎氏は、湾岸戦争に自衛隊を出動させるべきだと主張した。首相も反対ではなかった。ところが、宏池会を中心に反対論が噴出し、党内で激しい議論が戦わされて、結局、参加しないことになった。

 自民党の中にはタカ派もいればハト派もいた。そしてタカ派とハト派が公然と論議を戦わせる。それが他の党にはない自民党の特質であった。だからこそ、国民の多くが自民党を支持してきたのである。

 本来ならば、集団的自衛権の行使に踏み切るためには、憲法改正が必要である。公明党は、自民党とその論議から始めた。

 だが、こうした論議は本来、自民党内部で起きるべきであり、その論議を公明党に言われなければ始められない自民党は、健全とはいえないのではないだろうか。

 はっきり言って、安倍首相はタカ派の政治家である。だが、タカ派といえば中曽根康弘元首相と、小泉純一郎元首相もタカ派であった。だが、当時は自民党内にはっきりと「否」を言いたて、論争を巻き起こすハト派の勢力があった。その意味で自民党はバランスが取れていた。

 ところが、現在の自民党には党内論争というものが見当たらない。公明党に頼らなければバランスが取れないというのが何とも危なっかしい。

 かつては三(三木武夫)・角(田中角栄)・大(大平正芳)・福(福田赳夫)・中(中曽根康弘)が激しく争い、その後は竹下登、安倍晋太郎、宮沢喜一が競い合った。だが現在の自民党には安倍首相に抗する人物が見当たらない。それが私には大いに不満である。

週刊朝日  2014年7月11日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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