北原みのりの菊地直子裁判傍聴記 「じゃ、行こうか」で17年逃亡 (1/5) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのりの菊地直子裁判傍聴記 「じゃ、行こうか」で17年逃亡

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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菊池被告の特別手配ポスター (c)朝日新聞社 

菊池被告の特別手配ポスター (c)朝日新聞社 

菊池被告が最後に潜伏していた建物 (c)朝日新聞社 

菊池被告が最後に潜伏していた建物 (c)朝日新聞社 

 1995年に起きた東京都庁の郵便小包爆発事件に関与したとして、殺人未遂幇助(ほうじょ)などで起訴された元オウム真理教信者の菊地直子被告(42)。その裁判員裁判が、6月30日に判決を迎えた。公判を通して見えてきたものとは? コラムニストの北原みのりさんが傍聴した。

*  *  *
 2012年6月、17年間逃亡し続けたオウム真理教元信者、菊地直子が逮捕された。

 逮捕時の写真が公開された時、指名手配写真とのあまりの違いに驚いた。「別人じゃん!」と叫んでしまったが、それくらいにこの17年間、この人の顔は街の景色の一つと化していたことに改めて気がついた。

 風景のように知っていた「菊地直子」という人について、それでは、私は何を知っているのだろう。

 松本智津夫をはじめ、オウム真理教の幹部たちはほぼ全員、刑が確定している。菊地直子の裁判によって、新しい事実が出てくることはないだろう。それでも、地下鉄サリン事件から19年にして、そして特別手配犯が全員逮捕された今であっても、オウム真理教が引き起こした事件が、「過去の事件」として清算されているとは思えない。

 松本智津夫に帰依し続ける宗教団体Alephは信者数を伸ばしているといわれ、オウム真理教の被害者への賠償は滞っており、さらに95年当時1万2千人いたといわれる元信者たちに対する偏見や差別は未だに根深い。

 今回、菊地の裁判について、元出家信者の女性(当時は20代半ば、以下Mさん)に話を伺った。彼女は菊地の逮捕について「他人ごととは思えなかった」と語った。事件に直接関わっていなくても、オウム信者だった過去は口外できるものではない。親しい人や職場の同僚に過去を隠し生きてきた菊地直子の17年間は、そのまま、多くの元信者たちの17年間でもある。


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