今夏「エルニーニョ現象」が発生すると消費増税が見送られる? 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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今夏「エルニーニョ現象」が発生すると消費増税が見送られる?

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週刊朝日#増税
93年の夏はビーチに海水浴客がいなかった (c)朝日新聞社 

93年の夏はビーチに海水浴客がいなかった (c)朝日新聞社 

 今夏、記録的な発生が懸念され始めた「エルニーニョ現象」。日本には冷夏や異常気象をもたらすことで知られているが、経済に大打撃を与えるという。

 まずは「消費の低迷」だ。準大手証券会社のエコノミストが解説する。

「現在の日本経済の生命線は、個人消費。アベノミクスで円安になったとはいえ、価格競争力で劣る日本の電気製品など輸出は思った以上に伸びていない。景気の腰折れを防ぐには、消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動から消費が順調に回復していくことが絶対条件になります」

 だが、異常気象が起きると、そうはいかなくなる。野菜などの食料品価格の高騰が起きてしまうからだ。実際、93年は、たとえば、レタスが280円、キャベツが430円に高騰した。また、輸入食品の値上がりも覚悟しなくてはいけない。エルニーニョでアジア・オセアニア地方の広範囲が、水害や干ばつに襲われる可能性があり、小麦などの輸入品の価格が上昇することになるからだ。

 飲料業界やレジャー業界も不振にあえぐことになる。猛暑になるとバカ売れするビールなどの飲料品は売れなくなり、プールなどのレジャー施設は閑古鳥が鳴く。仮にエルニーニョが冬まで続くと暖冬になる可能性が高い。そうなると、冬物商品の売れ行きも落ち込むことになる。実際、93年度の個人消費は低迷。民間最終消費支出の伸びは前年比1%増程度にとどまった。

 さらに、「輸出の低迷」も懸念される。アジア・オセアニアを中心に世界景気が低迷すれば、ただでさえ伸びない日本の輸出をさらに減らしかねない。また、11年のタイのように、日系企業の生産地帯が洪水などに襲われる可能性もある。

第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏は、「今夏のエルニーニョが日本経済に思わぬダメージを与える可能性は否定できません」と危惧する。

 永濱氏によると、今夏の日照時間が93年の水準に減った場合、天候要因だけで今年度の実質国内総生産(GDP)は1.1兆円のマイナスになるという。

 内閣府が1月にまとめた「13~22年度の経済財政見通し」によると、政府は14年度の実質GDPは1.4%の成長を見込む。エルニーニョの影響が大きく広がれば、目論見どおりにはいかなくなる可能性がある。年金の運用などは、この経済財政見通しを前提にしているため、政府は経済運営を根底から覆されかねない。

 財政再建の見通しも狂う。

「来年10月の消費税10%への引き上げは、今年7~9月期の経済成長率が重視されるため、異常気象の影響などが大きければ、今年12月に予定されている引き上げの判断に影響を及ぼしかねません」(永濱氏)

 仮に引き上げが見送りとなれば、財政不安が高まり、国債の売りが加速する可能性も出てくる。そうなれば、異次元の金融緩和を中心にした成長戦略の修正も迫られることになる。

週刊朝日  2014年7月11日号より抜粋


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