文筆家の北原みのり氏は、お見合いをしている女性に話を聞いて、こんなことを思ったという。

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「婚活ブーム」だからなのだろうか。50回以上お見合いしたとか、お見合いで結婚した! という女性に最近たて続けに会っている。みな20代後半から30代前半。彼女たちに「若いのに何故結婚を急ぐの?」と聞けば、「若いからですよ」と切れ気味に返された。「35歳超えたら、結婚相手が見つからないです!」。……そういうものなのか。

 先日は、この2年間で50回近くお見合いをした30歳の女性に会った。業者に登録すれば定期的に男性が紹介されるのだという。

 彼女が言うには、どの業者でも、お見合いで人気なのは帝国ホテルのラウンジで、女性は白かベージュかピンクのワンピースを着ていくのが、「習わし」だとか。パンツはもってのほかで、女が保守的に見える方が、お見合いをスムーズに進められるのだ。普段はモード系の彼女も、お見合いの時はふんわりとしたピンクを着るのだという。

 それにしても50回もお見合いするなんて、本当は結婚したくないんじゃないの? 理想が高いのでは? と思うのだけど、本人には年収にこだわりはなく(顔にはあるらしい)、結婚願望は真剣だ。中には「いいな」と思った男性もいる。が、最後の最後で踏み切れないのは、会う男性殆(ほとん)ど全員、結婚観が驚くほど同じだったから、と言う。

 
「結婚したら、食事の世話をしてもらえると思ってるんですよ。家事も基本は女がやると信じてる」

 彼女が「料理は、得意ではないです」と言うと、「努力すればいい。応援します」と言った男性もいたとか。

「その男は、自分が作るとか、自分も努力するとか、絶対に言わないんです」

 結婚したいから婚活には真面目に励んでいる。が、そもそも結婚観が男女で違い過ぎるのではないか? と考えはじめた彼女。

「好きでもない男に努力すればいいと言われる私って……」

 結婚したいのに結婚したい男がいない、という女たちが、彼女の周りにはゴロゴロいるという。婚活がんばり過ぎて、結婚したくなくなる女が増えるだなんてな。もう、女はがんばらないでいいんじゃない? 料理も婚活も。

週刊朝日  2014年7月4日号

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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