保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された父親(36)のDVの影響で、母親(32)がひとりで家を出たのが約10年前。その後、十分な食事を与えなかったため、男児は衰弱死。だが、小学校の就学時健診や入学説明会に参加しなかった時も、学校と児相は家庭訪問するものの、「会えなかった」で終了。所在は追及しなかった。

 今年3月には、父親が市に対し、「妻子は東京のどこかにいるが詳しく知らない」と弁明。それを鵜呑みに住民登録を抹消したのだ。NPO法人子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク・山田不二子理事長は、こう指摘する。

「行政が恐ろしく縦割りで情報共有ができないことが一因です」

 男児への児童手当の申請手続きが途切れていたこと、亡くなる前の04年10月未明、男児が紙おむつ姿で裸足のまま、路上にいたところを保護されていた事実、3歳児健診が未受診だったこと。これらの情報が部署を超えて共有されていれば、早期に気づけただろう。

 就学前には、3歳児健診以外にも予防接種や視力検査など、出席するか否かで子どもの安否を確認できる機会は多くある。

「行政内部の横の連携を強化し、今ある制度を十分に活用し、ひとりでも多くの命を救ってほしい」(山田理事長)

本誌・古田真梨子

週刊朝日  2014年7月4日号より抜粋