三笠宮さまの次男、桂宮宜仁(かつらのみやよしひと)さまが6月8日、急性心不全のため東京都文京区の東大病院で亡くなられた。享年66。

 桂宮さまが亡くなったことで、天皇陛下皇族方の数は合わせて21人となった。

 桂宮さまの皇位継承順位は6番目だった。これで皇位継承権を持つ男性皇族は5人となる。桂宮さまの父親の三笠宮さまは98歳、天皇陛下の弟である常陸宮さまが78歳。皇太子さまは54歳で、50歳以下の皇位継承者は、48歳の秋篠宮さまと、その長男で7歳の悠仁(ひさひと)さまだけだ。

 宮内庁の山本信一郎次長は9日の定例会見で、男性皇族に限っていた祭祀(さいし)「大祓(おおはらい)の儀」の参列の範囲を女性皇族まで広げたと発表。その理由について「参列可能な男性皇族が実質的に少なくなっている」と述べた。

 皇位継承権を持つ男性皇族の高齢化と人数の減少は、危機的な状況にある。若い世代の皇位継承者は、悠仁さまひとりであることから、事態は深刻だ。

 
 2012年に野田政権は、「女性宮家」の創設を視野に、皇室典範見直しに向けた論点整理を公表した。

 これについて、宮内庁幹部が指摘する。

「近々に直面する問題としての皇族の数の減少に、女性宮家の創設によって歯止めをかけようという一時しのぎの策にすぎない」

 将来、皇居にひとりになる可能性のある悠仁さまを、現天皇の直系の女性皇族である眞子さま佳子さま愛子さまが、「ファミリー」として支える考え方だ。

 しかし、「女性宮家」創設案も男系派の安倍内閣で議論はストップした。

「あくまでも問題の本質は、天皇家を維持するための皇位継承者の存続の危機をどのように回避するか、という点にあるが、政府にも議員にも、危機感は薄い」(前出の宮内庁幹部)

 
 いまの状態で皇族を維持しようとすれば、悠仁さまに男の子が誕生する可能性だけにかけることになる。日本中が男子誕生を望むであろう中、「悠仁ご夫婦」が背負い込む重圧は想像を絶するものになる。

「天皇家が125代続いてきた理由のひとつには、側室の存在があった。現代にはそぐわない慣習ではありますが」(宮内庁関係者)

 となると選択肢は、旧皇族の復帰か、女性・女系天皇を認めるかである。しかし、前出の宮内庁関係者は、次のような懸念を示す。

 伏見宮系の旧皇族の血筋が現天皇家と分かれたのは600年も前の話。加えて、敗戦後の皇籍離脱で一般人として70年近い歳月が過ぎた。国民が「復籍」を受け入れるのかという問題がある。一代限りの男系女性天皇はともかく、女系天皇への抵抗はそれ以上に根強い。

 次の一歩を踏み出せないまま、時間だけが過ぎていく。

週刊朝日  2014年6月27日号より抜粋