W杯2大会連続3回目の出場のギリシャ。世界ランクは12位(日本は46位)。初の決勝トーナメント進出を目指す。攻撃の軸はミトログル(26、写真) (写真:gettyimages)
W杯2大会連続3回目の出場のギリシャ。世界ランクは12位(日本は46位)。初の決勝トーナメント進出を目指す。攻撃の軸はミトログル(26、写真) (写真:gettyimages)

 ワールドカップ、コートジボワール戦で惜しくも負けたサッカー日本代表。次は20日(日本時間)のギリシャ戦だが、堅守がウリのギリシャにどのような戦いをすればいいのか。忠鉢信一・朝日新聞編集委員は、キーマンは本田圭佑だという。

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 日本の特徴は、攻撃の多くが本田を経由することだ。本田にパスが渡ったとき、味方の思考は「攻撃」が占める割合が高くなる。つまりギリシャにしてみれば、本田の周辺で球を奪えば、効果的な逆襲をするチャンスになる。

 本田は左足でのスルーパスが得意で自ら得点することもできる攻撃的なMFだが、もともとスピードに欠ける。その欠点を補うために、あえていったんスピードを落として、そのあと爆発的に力を出す工夫をするのがうまい。いわゆる緩急の使い分けだ。

 しかし左足首を痛めた後、ラストパスの精度が中距離以上の距離になると落ちた。本人もそれを自覚しており、その結果、香川真司や岡崎慎司といったスピードがあって突破力を備えた選手との距離が近くなっている。相手としては、本田の動きを捕捉しやすくなった。

 本田も頭脳プレーで対抗するはずだ。たとえ速くなくても、動きながらプレーすれば、プレッシャーはかわせる。かわせば日本のチャンスは広がるので、本田対ギリシャの包囲網の駆け引きはこの試合の最大の見どころと言っていいだろう。

週刊朝日  2014年6月27日号より抜粋