先行きに明るさが見えてきた日本株。「投資の神様」「オマハの賢人」と称される米著名投資家、ウォーレン・バフェット氏(83)は(1)「企業の価値」より株価が割安(2)成長性がある(3)ビジネスが理解しやすい(4)生活に必要不可欠(5)ブランド力がある(6)配当など株主還元が充実という6つを投資のポイントに置き、氏が経営する世界最大級の投資会社バークシャー・ハサウェイの株価を48年間でなんと1万3千倍にした。

 では、バフェット流で何を買えばいいのか。前述の投資ポイントを基本にして、株式アナリストの今北洋氏、著名個人投資家の夕凪氏、資産運用アドバイザーの尾藤峰男氏に銘柄を選んでもらった。

 今北氏が特に注目するのは、(4)「生活に必要不可欠」(6)「株主還元」の企業だ。

 通信事業大手のKDDIは13期連続の増配見通し。また、おむつなどがアジアで好調なユニ・チャームやピジョンも前期に増配となった。さらに、「じゃがりこ」などのヒットで7期連続増益見通しのカルビーも増配に積極的だ。オリエンタルランドが経営する東京ディズニーランドは増税なのに客足は好調だという。

 バフェット流は「ネット企業のように理解できないビジネスには投資しない」主義だが、今北氏は、そうした企業も推す。

「ネットと言っても、ヤフーはポータルサイト、カカクコムはグルメサイトと、事業内容がわかりやすく、将来性もある。ジェネリック(後発)医薬品はこれから需要が伸びてくると思いますので、沢井製薬もいいでしょう」(今北氏)

 沢井製薬は、7期連続の増益見通しだ。

 個人投資家の夕凪氏がポイントとして注目するのは、(3)「ビジネスが理解しやすい」(4)「生活に必要不可欠」(6)「株主還元」の三つ。中でも株主優待に積極的な内需系の企業を推す。

 銘柄を見ると、食品メーカーのダイショー(東証2部)、飲食業を展開するゼットン(名証セントレックス)、豆腐を使った懐石料理店を全国展開する梅の花(東証2部)、九州を中心にファミレスを展開するジョイフル(福証)など、東証1部以外に上場する企業ばかり。なぜか。

「現在の株価が、企業の実力や潜在的な成長力よりも低いものを選びました。東証2部や地方の証券取引所から東証1部に上場を果たすことで、本来の市場価値を取り戻す。株価はグンと上がるでしょう」(夕凪氏)

 そして、こう続ける。「株主優待に積極的なのも重要。投資家を惹きつける材料になります」(同)。100株以上で6千円相当の自社製品がもらえる健康コーポレーションなどに注目だ。

尾藤氏は、(6)「株主還元」に注目。中でも、増配を継続する企業を薦める。(5)「ブランド力」もポイントだ。

 尾藤氏の薦める日本たばこ産業、セブン&アイ・ホールディングス、花王、JR東日本、セコムはすべて、長年にわたり増配を続けている株主意識の高い企業だ。14年3月期の一株当たりの年間配当は日本たばこ産業が96円、JR東日本が120円。また、花王は25期連続で増配予定だ。

「今後も増配を続けるかどうかはもちろんわかりません。ただ、儲けた利益を株主に還元する姿勢は変わらないと思います。他を上回るブランド力もあるので、期待できます」(尾藤氏)

 バフェット流の神髄は「株を買う」というより、「ビジネスを評価して応援する」というスタンス。目先の利益にとらわれず長期投資することが、成功の秘訣だろう。

週刊朝日  2014年6月20日号より抜粋