訪日したオバマ米大統領と面会した横田滋さん、早紀江さん夫妻 (c)朝日新聞社 @@写禁
訪日したオバマ米大統領と面会した横田滋さん、早紀江さん夫妻 (c)朝日新聞社 @@写禁

 拉致被害者5人が劇的に帰国した小泉訪朝から12年。北朝鮮がついに、拉致問題の再調査に合意した。安倍首相は「全面解決を」と大見えを切るが、本当に果たせるのか。またも、北朝鮮の「瀬戸際外交」の術中にはまる危険性もある。

 小泉純一郎首相が02年に訪朝した際、北朝鮮はこれまで存在すら認めてこなかった拉致被害者の安否について「5人生存、8人死亡」と発表。04年には横田めぐみさんのものと称する遺骨を日本側に渡してきたが、日本政府の鑑定の結果、偽物と判明。8人が死亡した状況などについても不自然な点だらけで、疑惑はますます膨らんだ。

 拉致被害者を支援している「救う会」の西岡力会長がこう語る。

「まずは相手の出方を見たいですが、北朝鮮は横田めぐみさんら死亡したと主張する拉致被害者8人について真実を出すつもりはなく、それ以外の人たちを何人か出して日本の世論をなだめ、制裁の解除を狙っているという情報もあります」

 西岡氏の言う「それ以外の人たち」とは、北朝鮮に拉致された可能性が排除できない「特定失踪者」を含む被害者という意味だ。

「小泉元首相の秘書官だった飯島勲氏が昨年5月、訪朝した際、北朝鮮が日本に『特定失踪者』2人の帰国を打診していた、と韓国紙も盛んに報じていました」(政府筋)

「全面解決」の落としどころが特定失踪者数名の帰国だとしたら、果たして日本国民は納得するだろうか。独立総合研究所社長の青山繁晴氏がこう語る。

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