田原総一朗 朝日新聞批判に見る「歯止めのきかない波」の怖さ (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗 朝日新聞批判に見る「歯止めのきかない波」の怖さ

連載「ギロン堂」

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 現に、5月28日の国会論戦での安倍首相の答弁について、朝日新聞は「武力行使否定と食い違い」「中国の強硬姿勢招く恐れ」「戦闘と一体化する危険性」「行使の判断 首相の手中」などと、ひたすら安倍首相の矛盾を強調している。そして社説の見出しは「疑問が募る首相の答弁」となっている。

 繰り返すが、こうした朝日新聞批判には一定の説得力はある。そして朝日新聞が、全世界のどの主権国家も保有している集団的自衛権をどう捉えているのか、どうあるべきなのかを明確に示していないことへの不満は、私自身も抱いている。

 だが、太平洋戦争とその敗戦を知っているわが世代としては、いったん流れが生じたときに歯止めをかける難しさ、というより不可能さを考えねばならないという思いが強い。

 朝日新聞をはじめ、日本のほとんどのメディアは満州事変、日中戦争、そして太平洋戦争と、いずれもあおりにあおってきた歴史がある。国家が滅びる愚行の歯止めどころか、大宣伝役を務めてきた。それも圧力を受けたわけではなく、ひたすら波に乗ることしか考えてこなかったのである。

 朝日新聞の姿勢には、少なからぬ不満はあるが、少数派に転じつつあることを察知していながら、波に乗るまいと抗していることは理解したい。ただし、中国、韓国と対立しているこの国のいき方について、「軍事力ではなく外交を重視せよ」などという抽象論ではなく、難しくても現実を直視して論じるべきである。

週刊朝日  2014年6月13日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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