“神の子”が負けた……。

 ヤンキースの田中将大投手(25)がメジャー9試合目の登板となった20日のカブス戦で6回8安打4失点で敗戦投手となり、日米通算の連勝は34でストップした。

 相手は、この時点でナ・リーグ最低勝率のカブス。なぜこのチームに、と思うが、田中とカブスには因縁がある。昨オフのポスティング移籍の際、田中獲得を巡ってヤンキースと最後まで競ったのがカブスだった。

「ヤンキースの提示した7年1億5500万ドルという条件に対し、カブスは6年1億2千万ドル。いかにカブスが本気だったかがわかります。今でも逃がした魚は大きいという意識があるようで、地元メディアは今回の対戦直前に『田中獲得の失敗から前に進めるか』という特集を組んだほどです」(ベテラン野球記者)

 カブスは田中をビデオで徹底分析。「低めを捨てて、ベルトより高めのボールを打て」というメジャーらしからぬ対策を徹底した。

 さらに“天”もカブスに味方した。シカゴはウィンディーシティーと言われるほど年中強い風が吹きつけ、その風が雨を降らせる。先の試合でも、3回に雨が降りだして先制点を与えると、その後も激しい雨が田中を苦しめた。実は田中、プロ入り後は要所要所で必ず雨に降られている。

楽天入りして最初のキャンプのフリーバッティング、紅白戦、オープン戦の初登板がすべて雨で中止か延期。去年の日本シリーズも雨に降られた。ヤンキース入りして最初のオープン戦も雨と竜巻の警報で試合開始が遅れたし、4月15日のカブスとの最初の対戦も雨天順延。かなりの雨男ですが、今回は“雨にも負けず”とはいかなかった」(スポーツ紙デスク)

 ただ、この試合での田中の自責点は3。メジャーでは先発投手が6回以上投げて自責点3以内なら「クオリティースタート」と言われ、その役割は十分果たしたと評価される。

「田中は『自分が悪すぎた』と語っていましたが、楽天の星野監督は『ヤンキースが打てなさすぎ。ウチと一緒や』とコメントしました。これは本質でしょう。それでも田中は責任を被り、『ここまでこられたのもチームメートのおかげ。投手一人で勝ち負けを決められるわけじゃない』と語った。こういうメンタリティーが神懸かり的な連勝を生んだのだろうし、それは洋の東西を問わないということでしょうね」(同)

週刊朝日  2014年6月6日号