スマートフォンなどでニュースを読むことが当たり前となった今、元ライブドア社長の堀江貴文氏は、ニュースアプリについてこう持論を展開する。

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 私が運営しているニュースブログ「ホリエモンドットコム」にも先日書いたが、「NewsPicks」という経済ニュースのキュレーションアプリに日経新聞がなぜか記事を提供していない。

 NewsPicksの特長は、ニュースがスマートフォンやタブレットで見やすいということと、ピッカーと呼ばれるユーザーがニュースをピックアップしてコメントを書ける機能だ。さらにコメントに「LIKE」を付けることができて、フォローもすることができる。「LIKE」数でランキングされているので、LIKEの多い人のコメントが上のほうに来るようになっている。

 その仕掛けのおかげで、いろいろな経済のストレートニュースに対して有識者や業界人の賛否両論の解説が見られるのである。私も参加しているが、夏野剛さんや竹中平蔵さんなどの著名人もニュース解説を毎日のようにしている。これは貴重である。

 なんせ紙の新聞や新聞のウェブサイトでは論説委員の論評くらいしか読むことができない。マイナーな個別記事に対してのコメントはリアルタイムで読めないのである。

 産経新聞の「イザ!」というサイトは読者コメントがつけられるようになっているが、一般ニュースを扱っていることや匿名性のためか、あまり有用なコメントは見られない。その点、NewsPicksはピッカーの質やアクティブ率を維持する仕掛けが秀逸なのである。

 経済ニュースといえば、日本では日経新聞というイメージが強い。電子版の加入者数も好調らしいが、月額購読料が4200円というのは高すぎる。紙の新聞を購読しているとプラス千円で済むらしいが、そのために紙の新聞を契約する気にはあまりならない。

 一方で私が電子版を購読しないのは、値段のせいもあるが、日経でしか見られないストレートニュースが少なくなっているせいだ。また、取材記事にしても他のウェブメディアでも見られるような記事も多い。

 確かに日経の取材力は素晴らしいし、タイムリーに記事を配信しているのだが、無料登録していればかなりの記事を読むことができるので有料登録をするまでのことはない。使い勝手や先ほど説明したピッカーの解説記事を読めることを考えると、是が非でもNewsPicksの有料読み放題メニューで日経の記事を読めるようにしてほしい。

 なんといっても既存の新聞・雑誌媒体のアプリ化は遅れている。紙のメタファーでアプリを考えるから新聞をそのまま読めるビューワーとかを開発してしまう。それは大間違いで、スマホ・タブレット向けのユーザーインターフェースは全く設計思想が異なるのだ。

 だからこそ専門のアプリ開発・運用会社に出資するなり買収するなりして全てを任せて、ニュースソースとソーシャル連携効果を最大限発揮できるようにすべきなのである。

 私が企画している紙の雑誌もそういう連携をどんどん試みるつもりである。記事閲覧専用のアプリを開発する必要などないのだ。

週刊朝日 2014年5月30日号