励ましの言葉もNG? 夫との死別で「遺族外来」受診する妻たち 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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励ましの言葉もNG? 夫との死別で「遺族外来」受診する妻たち

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 愛する人との死別は、誰もがいつか直面する、ありふれた経験かもしれない。だが、それは「人生最大のストレス」とも言われる。

「死別後は、うつ病の発症率や自殺率が大幅に上昇するなどデータにも表れています」

 そう指摘するのは、埼玉医科大学国際医療センターで「遺族外来」を担当している大西秀樹教授(精神科)だ。遺族の感情は、死別直後の強いショックから怒り、悲しみ、抑うつ感へと変化する。これはごく自然な反応で、たいてい半年から1年ほどかけ、薄紙をはぐように故人のいない人生に適応できるようになる。

 だが、落ち込みが強かったり長引いたりする場合もあり、「遺族外来」を受診する患者の多くが、こうした人たちだ。治療は「支持的精神療法」と言われるカウンセリングが中心。大西教授は話を聞くことに徹し、「こうしなさい」という指示は一切出さない。

「治療の目的は、遺族が自分の力で乗り越えること。何度も話すうちに自分で問題点を整理し、解決の糸口を見つけていく。医師はそっと後ろから支える役回りなんです」(大西教授)

 また、遺族の心情に大きな影響を与えるのが周りの対応だ。夫を亡くして茫然自失のまま葬儀を終えた直後、親族に「席順が悪い!」と怒鳴られてうつ病になったケースや、亡夫の友人から「おまえのせいで死んだ」と言われて怖くなって遺族外来に相談に来る人もいるという。

 さらに、慰めや励ましのつもりでかけた言葉が、遺族を傷つけることも少なくない。他人と比べられないはずの悲嘆に沈んでいるのに「お子さんがいるからまだマシね」と言われたり、80代で亡くなったとしても喪失感が強い時に「大往生ね」と言われたりすれば、悲しみが増す。

週刊朝日  2014年5月23日号より抜粋


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