老いてますます盛んな元首相コンビ (c)朝日新聞社 @@写禁
老いてますます盛んな元首相コンビ (c)朝日新聞社 @@写禁

 東京都知事選の敗北以降聞かれなかったあの小泉節が、久しぶりに炸裂した。

「私ももう過去の人と言われようがね、勝っても負けても原発ゼロの国造りを目指すんだ。これは死ぬまで頑張らなきゃいかんと、やってまいりました」

 小泉純一郎(72)、細川護熙(76)の元首相コンビは5月7日、脱原発を目指す社団法人「自然エネルギー推進会議」を設立した。

 記者、参加者など400人で超満員となった会場でマイクを握った小泉氏。

「敗北にくじけないところが細川さんと私のいいところ」とおどけると、場内は大爆笑。身ぶり手ぶりのパフォーマンスを織り交ぜ、再び気勢を上げた。

「原発の研究者、規制委のメンバーは頭脳明晰な人ばっかりだけど、原発コストいちばん安い、いまだにそう言っている。東電はじめ、日本の原発会社は国民の税金負担なしにやっていけるところは一つもないんですよ。こんなわかりやすい話、ないでしょう。民間だけど実は国策会社、政府のカネをふんだんに使ってる。どの原発会社もカネまみれ、カネ食い虫ですよ」

 体調を崩し、声に力のなかった細川氏とは対照的に、予定をオーバーし、熱弁をふるい続けた。

「日本の原発は安全だと思われたけど、現に地震、津波、火山の噴火、国土の地質状態と世界の原発国に比べ最も弱い。なおかつ、テロに対していちばん弱いと世界が危惧している。これに対して規制委の優秀と言われる先生方は返事がない。どうして世界一の安全基準と言えるのか。変人を通り越して、頭の良い人しっかりしてくれと言いたいよ」

 推進会議は今後、青森、新潟など原発立地地域などで集会をし、「原発ゼロ」の機運を盛り上げるが、「直接的には選挙にかかわらない」(細川氏)という。

 だが、発起人の一人となった音楽評論家の湯川れい子氏はこう要請した。

「(再稼働で)地方の原発立地の首長が苦しいんです。いつすげかえられるかわからない。今秋の福島知事選、お二人がいらっしゃるのだから、支援する組織作りができないでしょうか」

 対照的に、受ける立場の自民党は「都知事選で小泉さんは完全に終わった」(中堅議員)と余裕の表情だ。元首相コンビの再始動は、政局にどんな影響を与えるのだろうか。

週刊朝日  2014年5月23日号