4月12日、東京・浅草の一葉桜・小松橋通りで行われた「江戸吉原おいらん道中」(撮影/品田裕美)
4月12日、東京・浅草の一葉桜・小松橋通りで行われた「江戸吉原おいらん道中」(撮影/品田裕美)

 江戸の世、吉原の遊女の中でも上位の者は、“花魁(おいらん)”と呼ばれていた。美しくも着飾った花魁が、禿(かむろ)や振袖新造などを引き連れ、吉原を優雅に練り歩く花魁道中は、客以外にも、沿道の多くの人の心を惹きつけた。その優美な姿をひと目見ようと、たくさんの見物客が詰めかけたという。

 そんな花魁道中が現代に蘇った。吉原のしきたりや所作を残そうと、2003年に吉原の料亭「松葉屋」がスタートさせ、08年からは地元有志が、地域のイベント「浅草観音うら 一葉桜まつり」の中で引き継いだ。一葉桜・小松橋通りを、吉原伝統の「外八文字」という独特の足さばきで練り歩く。

 花魁の中でも、高嶺(たかね)の花である太夫は別格の存在だ。太夫の役を務めたのは、地元の大学院生の成沢可奈子さん(23)。もう4回目になり、堂々とした足さばきを披露した。

 歩道には、たくさんの見物客。時代を超え、多くの人を魅了する花魁。江戸の世も花魁道中見たさに集まる人々の様子はこんなふうだったのだろう。

週刊朝日  2014年5月9・16日号