樹木希林 伊勢参りで「どろーっとした部分」が消えないことを知る 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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樹木希林 伊勢参りで「どろーっとした部分」が消えないことを知る

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週刊朝日

 70歳にして初めて伊勢神宮をお参りしたドキュメンタリー映画「神宮希林 わたしの神様」で、自称“不動産好き”の女優・樹木希林さんは、映画のスタッフを、東京の自宅に案内している。古いものとモダンなものが絶妙に調和したその家は、豪奢なのにどこかシンプル。「自分の身を始末していく感覚で毎日を過ごしている」という希林さんの生き方そのものが、見事に反映されている。

 少しおどけた調子で、「ここがウチのご主人の部屋ね。ほとんどいたことはないけれど」と紹介しながら、希林さんは、「(内田裕也さんとの結婚が)私の中のドロドロした部分を清めてくれた」と話していたのが印象的だった。

「私の場合、どうも、上昇志向のようなものが人よりちょっと少ないみたいなんです。若い頃から。“俳優としてこうなりたい”とか、“あの人と比べてこうありたい”みたいな気持ちが全くなかった。そのせいか、25~26歳のときに、生きることに飽きてしまったことがあって……。当時はもう仕事も家もあって、生きる術は整っていたのだけれど、これで60~70まで日常を繰り返して生きていくのかな、と思ったときに深く絶望してしまったの。でも、その一方で、自分の中にどうしようもない、一緒にいる人をダメにしてしまうようなおかしなエネルギーが燻(くすぶ)っていたりもして……。内田のような強烈な人に出会うことで、そんな人生が、もしかしたら変わるんじゃないかと期待したんです。実際には、変わるどころの騒ぎじゃなかったんですけれど(苦笑)。まぁ、自分で決めた結婚なので、最後まで責任は取ろう、と思っているわけ」

 同世代の人たちを見ていると、いくつになっても心の欲望は天井知らずで、「丈夫だな」と思うのだという。伊勢参りをしても、特に願い事もしない希林さんだが、70歳になって、伊勢神宮に何度となく足を運んでみて、ようやくわかったことがあった。

「私の中にあるどろーっとした部分が、年とともになくなっていくかと思っていたんだけれど、結局は、そうじゃなかった。でも最近は、“それがあっていいんだ”と思えるようになって。少し、ラクになりました」

週刊朝日  2014年5月9・16日号より抜粋


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