改正道交法を周知するチラシを配る警察官 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 年間約12万件も発生し、交通事故全体の約2割を占めている自転車事故。とくに、昨年7月には、男子小学生(事故当時11)が歩行中の女性(同62)と正面衝突した事故で、9521万円もの賠償を命じる判決が神戸地裁で出され、大きく報道された。最近では、損害賠償金を補償する「自転車保険」に関心が高まっているが、どんなものがあるのだろうか。

 まず、相手にケガをさせたり、物を壊したりした場合の損害を補償する「個人賠償責任補償」と、自分がケガをして入院した場合の入院費などを補償する「傷害補償」がセットになっているものが自転車保険の基本だ。

 主なものに、(1)損害保険会社が販売する自転車保険(2)自転車関連団体が提供する付帯保険などがある。

(1)には、たとえば、au損害保険の「あ・う・て『ケガの保険 Bycle』」がある。最も保険料の高い「ゴールドコース」では、賠償責任補償は最大1億円。自分がケガをして入院した場合、入院保険金は日額6千円だ。自転車で事故を起こした場合は、その2倍の保険金が支払われる。

 三井住友海上火災保険は、全国のセブン‐イレブンの店舗にあるマルチコピー機で手軽に加入でき、レジで保険料を支払うことができる「自転車向け保険」を販売している。最大1億円の個人賠償責任を補償するものだ。

(2)には、日本交通管理技術協会の「TSマーク付帯保険」がある。引き受け保険会社は三井住友海上など。同協会の技能検定に合格した自転車安全整備士が点検・整備した自転車に貼るTSマークに保険がついている。

 マークには赤色と青色がある。補償金額の高い赤色マークでは、相手が死亡あるいは重度の後遺障害がある場合に2千万円まで補償される。

 また、最近では、自転車メーカーが自転車に保険をつけて販売するケースや、携帯電話から簡単に申し込める商品も登場した。

 自転車メーカーのホダカは、最大1億円の個人賠償責任保険のついた自転車を販売している。今年5月末までにスポーツタイプの「コーダーブルーム」3車種の購入者に1年間の保険をつけるもの。引き受け保険会社はau損保で、保険料はホダカが負担する。

「自転車に乗っている人で保険に入っている人は10%未満だといわれています。自分が事故の加害者になる可能性があるという意識がまだまだ足りません。メーカーとして安全運転の意識を持ってもらいたいと考え、保険つきの自転車を発売することにしました」(ホダカ広報担当)

 また、NTTドコモは今年3月4日、携帯電話から簡単に申し込める「ドコモの保険」に「ドコモ サイクル保険」を追加した。引き受け保険会社は東京海上日動火災保険。賠償責任を最大2億円まで補償する。保険料は月440円から。保険の対象に契約者だけでなく、配偶者や子どもなど家族を含む家族プランの場合は月980円。月単位の契約が可能なのが特徴だ。

「雪国の人は冬には自転車に乗ることは少ないので、冬にいったん解約して、翌年の春にまた入り直すこともできます」(NTTドコモ金融ビジネス推進部)

 加入件数は当初計画の3倍近くというほど反響があるという。

週刊朝日  2014年5月2日号より抜粋