同性愛や、心と体の性が違う「性的マイノリティー(少数者)」への理解が広がってきている。性的マイノリティーは「LGBT」と呼ばれる。レズビアンの「L」、ゲイの「G」、バイセクシュアルの「B」、性同一性障害者などのトランスジェンダーを指す「T」の頭文字だ。

 昨年7月以降、男女雇用機会均等法のセクハラ指針が見直され、性的マイノリティーに関する差別的言動(気持ち悪い、オカマなどの蔑称)もセクハラに当たることになった。人事やCSR(企業の社会的責任)、コンプライアンス面からもLGBTの人が働きやすい環境整備を急ぐ企業は今後も増えるだろう。

 それぞれのキャリアや能力を生かし、草の根で活動する当事者もいる。

 中村吉基さん(46)は新宿区内にある協會の牧師だ。ゲイであることを公表した上で新宿2丁目にほど近いホテルの会議室で毎週行われる礼拝で、LGBTの人も受け入れている。

「聖書には同性愛禁止と受け取られるような表現があり、不安を抱く人もいる。欧米にはLGBTが集う教会もあり、そういう場を日本で広めながら悩みに応えたい」

 レズビアンの理学療法士(30)はキャリアを生かし「誰もが自分らしく生きられるように、心と体、双方から健康をサポートしたい」と夢を語る。今ボランティアとして奔走するのが4月27日、東京・代々木公園で催されるイベント「東京レインボープライド2014」だ。

 LGBTの人が思い思いの服装やプラカードを持って練り歩くほか、人気アーティストのライブ、子連れで参加できるイベントなどがある。昨年はえんどうの参加者を含め、約1万2千人が集い大盛況だった。

「当事者や支援者はもちろん、『よくわからない』という人も足を運んでほしい。楽しみながら知ってもらうきっかけになれば」と主催者の山縣真矢代表は期待する。

週刊朝日  2014年5月2日号より抜粋