科学界を揺るがす“一大スキャンダル”が自己増殖を続けている。理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー(30)が4月9日、2カ月ぶりに会見。会見の中で、ある男性との「不適切な関係」について聞かれた小保方氏は、こう語気を強めた。

「そのようなことはありません。そのような報道が出て、本当に戸惑っています」

 その男性とは、英科学誌「ネイチャー」に掲載された疑惑の論文の共同執筆者である理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長。近日中に会見するという。

 笹井氏はES細胞(胚性幹細胞)研究の第一人者で、今回の論文作成では、小保方氏を指導する役割だった。理研の内情を知る関係者がこう語る。

「小保方さんは、明らかに笹井さんの寵愛を受けていました。笹井さんを見つけると、『せんせ、せんせっ』と駆け寄っていた。“ぶりっ子”口調で取り入ろうとしているように見えたのか、彼女と同程度のレベルの研究者の中には、『あれくらい“営業”をやればリーダーになれるよ』と、こぼしている人もいました」

 こんな人間関係を反映してか、2人が男女の関係にあったのではないか、と指摘する報道が続出したのだ。理研OBがこう口を濁す。

「2人の関係は正直、わかりません。でも、研究所では少ない人数でずっと一緒にいるので、確かに自然と恋愛に発展するケースは多いです。同じ研究所内で結婚した人を何組も知っていますから……」

「不適切な関係」の真偽はともかく、笹井氏の“寵愛”が周囲の判断を鈍らせた面はあると、先の理研関係者は指摘する。

「発見時の発表があれほど大々的になった背景には、『実力者の笹井さんが指導しているから』という安心感があったと複数の幹部が語っていました。その笹井さんが会見にも出ずに逃げ回っていることに、理研内部でも批判が高まっている。一人、悪者にされた小保方さんには、むしろ同情論が高まってきていますよ」

 笹井氏は朝日新聞の取材に、「STAPはreal phenomenon(本物の現象)だと考えている」とメールで回答しており、会見でも同様の主張をするとみられる。

 東大医科学研究所の上(かみ)昌広特任教授(医療ガバナンス論)がこう語る。

「笹井氏は小保方氏の上司であり、一連の行為の監督責任がある。問題だらけの論文を撤回するよう、なぜ早く小保方氏を説得しないのか。もし不正があったなら、税金が投入された研究費をどう返還していくのか。STAPの存在を主張する前に、説明するべきことは山ほどあります」

本誌取材班=小泉耕平、馬場勇人、今西憲之

週刊朝日 2014年4月25日号より抜粋