斎藤環(さいとう・たまき)1961年、岩手県出身。筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。筑波大学社会精神保健学教授。専門は思春期・青年期の精神病理学、「ひきこもり」問題の治療・支援ならびに啓蒙。漫画・映画・サブカルチャー全般に通じ、新書から本格的な文芸・美術評論まで幅広く執筆。近著に『世界が土曜の夜の夢なら』(KADOKAWA)、『ヤンキー化する日本』(角川oneテーマ21)などがある(撮影/写真部・工藤隆太郎)
斎藤環(さいとう・たまき)
1961年、岩手県出身。筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。筑波大学社会精神保健学教授。専門は思春期・青年期の精神病理学、「ひきこもり」問題の治療・支援ならびに啓蒙。漫画・映画・サブカルチャー全般に通じ、新書から本格的な文芸・美術評論まで幅広く執筆。近著に『世界が土曜の夜の夢なら』(KADOKAWA)、『ヤンキー化する日本』(角川oneテーマ21)などがある(撮影/写真部・工藤隆太郎)
斎藤環さん(左)と林真理子さん(右) (撮影/写真部・工藤隆太郎)
斎藤環さん(左)と林真理子さん(右) (撮影/写真部・工藤隆太郎)

 ヤンキー論で日本人の気質を斬り、注目されている精神科医の斎藤環氏が、作家の林真理子と対談を行った。「坂本龍馬がヤンキーのシンボル」と持論を展開する斎藤氏だが、坂本龍馬も出身地である高知県は県民性としてヤンキー濃度が高いという。

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林:このあとヤンキーは細分化され増殖されて、数々の現象を生んでいくとお考えですか。

斎藤:どうなんでしょうね。ヤンキーって、時代が変われば変わるほど変わらないところがあって、改造車にしても、いまだに竹やりやシャコタン。変わらないものが温存されていく構造ですね。ただ、唯一新しいと思ったのが、ゼロ年代以降に出てきた「よさこいソーラン」ですね。

林:ああ、私、あれが嫌いなんですよ(笑)。ああいう外来種がどんどん伝統文化を駆逐していくんですよね。「おわら風の盆」みたいな、ゆったりとした日本古来の祭りを。

斎藤:あれは伝統を駆逐するブラックバスみたいなものなんですよ。

林:何とかしてほしいんですけど。

斎藤:何ともならないですよ。全国の祭りであれをやっているうえに、学校が子どもにやらせているから、もう無理です。ただ、あれのいい面もあって、非行対策としては明らかに有効だったと思うんですよ。日本で非行が激減した理由の半分ぐらいは「よさこいソーラン」じゃないかと思っていて、勉強はできないけど、「よさこいソーラン」で輝く。不良にチャンスを与えているんですね。

林:「よさこい」って高知ですよね。私、高知が大好きで、このあいだ観光特使になりましたが、あそこは全県民ヤンキーという感じですよね。

斎藤:西原(理恵子)さんといい、ヤンキー濃度が高い県民性ですね。あそこはヤンキー帝国です。

週刊朝日  2014年4月18日号