近年、難関大学への受験勉強に変化が現れている。“孤独な闘い”というイメージだったが、生徒同士の団結力で戦う“団体戦”で臨む高校が増えているのだ。

 受験生たちの“団体戦”での取り組みは、一部の中高一貫校だけで成り立つものなのか。博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平氏は“団体戦”というアプローチを「今の子どもたちがやる気を出すのに効果的な方法」と指摘する。

「現在の高校生は互いを気づかう傾向があり、全員が仲のよい関係を築くことに長けています。つまり、学力を伸ばすために互いを競わせると、引いてしまう危険性があります」

 少子化によって、大学は全入時代だとも言われる。同級生であってもライバルとして蹴落とし、歯を食いしばってストイックな受験勉強を続ける必要はあまりないし、実際にしたこともない生徒たちが多い。

「コミックを例に挙げれば、『北斗の拳』におけるケンシロウのように、孤独なヒーローが人気だった時代とは異なります。今は『ワンピース』のように仲間を大事にしながら戦うイメージのほうが共感を呼ぶというわけです」

 もちろん、全員が「なあなあ」の関係になってしまうと弛緩してしまう。

「集団の達成レベルを上げるためには、個人のレベルアップが不可欠だと教えることは大切です。その上で団体戦は、縦社会ではなく横社会で生きる子どもたちの学力を伸ばす方法だと思います」

 かつて中国で行われた科挙では、受験生は個室に3日間閉じ込められ、孤独の中で試験問題と格闘したという。時代が変われば受験や勉強法も変化して当然ということなのだろう。

週刊朝日  2014年4月18日号