出所以来、雑誌やウェブなどさまざまなメディアに露出しているホリエモンこと堀江貴文氏。その経験から取材の際の写真撮影に関して、異論があるという。

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 ホリエモンドットコムのコンテンツの紙媒体化にあたって、いろいろと思案している。

 ウェブサイトやスマートフォンと比較して、紙媒体の優位点を考えると、写真のクオリティの高さがあげられる。情報のリアルタイム性やポータビリティ、シェアの仕組みなど、どれをとっても紙媒体は優位性を保ち得ない。そう考えると、「いかに写真を効果的に魅せることができるか」が、紙媒体を成功させる一つの鍵になるだろうと考えた。

 様々な媒体の取材を受けていて気付いたが、紙媒体のカメラマンが割と重厚な装備で来るのに、ウェブ媒体は記者がデジカメ(へタするとスマートフォンのカメラ)を持って撮影しているケースが多い。

 確かに掲載する写真のクオリティを考えれば、ネット媒体では一眼レフの高級プロ用カメラや露出計やレフ板などは必要ないのかもしれない。あるいはオーバースペックと考えられるだろう。無料の媒体が多く、かつての紙媒体ほど広告収入も得られないとなれば致し方ないことなのだろう。

 余談だが、デジカメ全盛になってからのカメラマンの撮影枚数の多さには辟易してしまう。なぜか必ずと言っていいほど、インタビュー撮影にはカメラマンが同行してパシャパシャと驚くほどの枚数を撮りまくる。

 好意的なインタビューの場合はまだしも、敵対的な、なんか揚げ足を取って“ディス” ってやろう的なマスコミのインタビューは要注意だ。

 必ずカメラマンや記者に釘を刺しておく必要がある。新聞社などは記事の確認もさせてくれないケースがある。そうなると写真も彼らが報じたい内容を補強するような写真を使われる。悪意をもって報道したい場合は、「奇跡の一枚」的な悪人顔を利用されたり情けない表情を使われたりするのだ。

 もちろん好意をもって撮影してくれるケースでも、より良いモノを求めて大量に撮影してその中から一枚を選び出そうとする。対応する側は大変だ。プロのモデルでもないのに、いろんな表情やポーズを要求される。はっきり言って何もできない退屈でしかない時間なので、できればせいぜい数枚でお願いしたいというのが撮られる側の本音だ。

 その点、巨匠と呼ばれるカメラマンはさすがだ。篠山紀信さんなんか数カットしか撮影しない。それだけ自分の腕に自信があるのだろう。フィルムで紙焼きの時代はそんなに大量の枚数を撮ることはコスト的にも時間的にも難しかったので、その時代に培った技術力がデジカメ時代になっても活かされているのであろう。

 新しく作る紙の雑誌では、そんなところも考慮したうえで、ハイクオリティの写真と、以前も説明したとおり、少ない文字数を基本とする。読む側にあまり負担をかけない、それでいて永久保存版にしたいと思わせる媒体に仕上げていきたいと考えている。

 ハイクオリティな写真を紙焼きしたものをプレゼントしたり、購入できたりする仕掛けもあったらおもしろいなとも思っている。

週刊朝日  2014年4月11日号