ざわちん。この一風変わった芸名の女性タレントが注目を浴びている。人呼んで「ものまねメークファンタジスタ」。メークで有名人の顔になりきっているのだが、これが「似すぎている」と評判なのだ。

 女性タレント17人分の“ものまね写真”とメーク方法を掲載した著書『ざわちん Make Magic』(宝島社)は、発売から1カ月足らずで10万部を超え、ブログも1日約100万アクセス。ちょっとした社会現象になっているのだ。

 ざわちんはメークを始めたきっかけをこう話す。

「中学3年のとき、部屋に貼っていた桐谷美玲さんのポスターを親戚が見て、『似てるね』 って言うんです。うれしくて、もっと似せたいと思い、初めてアイラインを引きました」

 もともと絵を描くのが得意。恋をした男子が好きなタレントに近い顔になろうと、化粧品を買っては試行錯誤を繰り返した。そのメーク術のポイントは、とにかく目元で勝負!

「眉の形、長さ、眉と目との距離、まぶたの幅など、まねる相手と自分の写真を見比べ、違いを細かく修正していくんです」

 本の制作現場に立ちあった宝島社の担当者は、その“徹底ぶり”を明かす。

「それぞれのメークに合うカラーコンタクトやつけまつげなどをたくさんお持ちでした。高いクオリティーを求め、もう少しラインを長くした方が似る!など微調整を繰り返していました」

 最近は男性タレントにも挑戦。アイドルグループ「嵐」の5人やフィギュアスケート羽生結弦選手など、変幻自在だ。

「メークでどこまで変われるか挑戦できるので、男性もやりがいがあります。テリー伊藤さんの場合は、まぶたを落ちくぼませたり、眉毛の濃いところと薄いところを描き分けたりして“落ち着き”を再現しました。ご本人にも『おおオレだ!』と褒めていただきました(笑)」(ざわちん)

 その技術、プロにはどう映るのか。ヘアメーキャップアーティストの佐伯エミーさんは、「学ぶところが多い」と絶賛する。

「自由な発想だし、相当研究されています。アイラインはミリ単位でまねているし、涙袋の目立たせ方にしても、私とは違うやり方です。自分と系統の違う顔に挑むのがすごい。一度プロセスを見てみたいですね」

 今後の夢は、「海外進出」と語るざわちん。類まれなるセンスで、世界を“ザワ”つかせてほしい。

週刊朝日  2014年3月21日号