佐村河内守(さむらごうち・まもる)(作曲家?)1963年、広島県生まれ。聴覚障害がありながら作曲する「現代のベートーベン」として名を広める。この2月、ゴーストライターが名乗りでたことで代作疑惑が浮上。その後、本人も代作を認め、「体調によって耳が聞こえることもあった」と弁護士を通じて謝罪=3月7日、別人のような風貌で、騒動後初めて会見(撮影/写真部・工藤隆太郎)
佐村河内守(さむらごうち・まもる)(作曲家?)
1963年、広島県生まれ。聴覚障害がありながら作曲する「現代のベートーベン」として名を広める。この2月、ゴーストライターが名乗りでたことで代作疑惑が浮上。その後、本人も代作を認め、「体調によって耳が聞こえることもあった」と弁護士を通じて謝罪=3月7日、別人のような風貌で、騒動後初めて会見(撮影/写真部・工藤隆太郎)

 3月7日、別人のような風貌で、ゴーストライターによる“代作疑惑騒動”後、初めての会見を行った佐村河内守(さむらごうち・まもる)氏。ファッションデザイナーのドン小西氏が会見時のファッションチェックを行った。

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 いきなり別人に変身しちゃったから忘れてたけど、この人は今まで、ロングヘアとヒゲにサングラス、そこに黒ずくめっていうイデタチでカリスマ然としてたんだよね。その手の風貌の人は、ファッション業界には山ほどいるんだけどさ。彼らを観察すると、ファッションを、本当の自分を隠すための小道具としかみてない人も多いんだよ。

 たしかに視線も見えなければ、顔もよく見えない。黒ずくめじゃ、その人のセンスも本性もわかんないもんな。それでいて、カリスマ性や神秘性も手軽に演出できる便利な格好。本当は自分を隠すんじゃなくて、表現するためのファッションを、舐めんなよと思うよね。

 この人もそう。ヒゲをそっても、七三分けにしても、どっか演出くさいじゃない。その証拠に、この日のスーツはピークドラペルのダブルっていう、ロン毛時代から着ていたもの。ほかにこの手のスーツを着ていた人といえば、石原慎太郎くらいしか思い浮かばないもの。つまり、やたら偉そうで、謝っちゃいないよな。人のいいおじさんに見えたけど、ファッションってほんと正直なんですから。
 
週刊朝日  2014年3月21日号