事件で首輪をつけられた江の島の野良猫 (c)朝日新聞社 @@写禁
事件で首輪をつけられた江の島の野良猫 (c)朝日新聞社 @@写禁

 パソコン遠隔操作事件で威力業務妨害罪などの罪に問われていた片山祐輔(ゆうすけ)被告(31)が3月5日夜保釈された。単独インタビューに応じた片山被告は、ポータブルアプリケーションを入れて持ち歩いていたUSBメモリーがウイルス感染したことがきっかけで、自分のパソコンやスマホが真犯人に遠隔操作されたのではないか、とこう述べる。(ジャーナリスト・江川紹子)

*  *  *

――そのUSBメモリーはどうなりました?

 黒いバッファロー製なんですが、押収品の中にない、と言うんです。家宅捜索の時には、パソコンに差さっていたか、机、鞄、車のいずれかの中にあったのは間違いないんですけど。

――片山さんにとって大事な証拠が出てこない……。

 弁護団が尋ねても、検察の手持ち証拠には存在しない、という回答が多い。なぜだろう。弁護士は、警察が検察に送ってないのでは、と言っていた。そういう証拠を、どれだけ公判に引っ張り出せるか、だと思う。

――片山さんは、自分も誤認逮捕された4人と同じだと訴えていましたね。

 ただ、正直に言うと、僕には落ち度がないわけではない。あの4人はITの素人。でも、僕はプロなのに、無防備に好きなアプリを職場で使ったりしていた。スマホも、初期設定を解除して、ネットで好き勝手にアプリをインストールできるようにしたのに、ウイルス対策ソフトも入れていなかった。最低限のセキュリティーの備えをしていなかったことは、プロとしての自覚が足りなかったと、認めないといけない。

週刊朝日  2014年3月21日号