真央ちゃんの涙に世界中が感動 (c)朝日新聞社 @@写禁真央ちゃんの涙に世界中が感動 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 浅田真央の涙に世界中が感動したソチ五輪。「4年に一度」という怖さを痛感したプロゴルファーの丸山茂樹氏は、彼女の今後にエールを送った。

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 ソチ・オリンピック、終わっちゃいましたねえ。ロサンゼルスでテレビで見させてもらいましたよっ。やっぱり注目したのはフィギュアスケートです。

 浅田真央ちゃん(23)のSP(ショートプログラム)を見ていて、やっぱりオリンピックの怖さというか、「4年に一度」の恐ろしさを感じましたよね。

 まさかの16位に沈んだSPでのミスは調整ミスというより、メンタル面が原因となってのミスなんでしょうね。それを裏付けるように、吹っ切れて臨んだフリーは最高の演技でね。

 ゴルフでいえば、1年に一度のオーガスタみたいな感じでしょうか。万全の状態でその日を迎えてるはずなんですけど、思うように体が動かないときがある。ましてや「4年に一度」ですからね。プレッシャーも増幅してしまうんでしょう。世界選手権でうまくいっても、オリンピックではうまくいかない。ジャンルは違うけど、同じアスリートとしては、よく分かります。

 ジャンプの高梨沙羅ちゃん(17)もダメだったじゃないですか。あれだけ前哨戦で勝ちまくってたのに。だから真央ちゃんに起こったことも、平気でありうることなんです。みんな、人なんですから。機械がやってるんじゃないんだから。

 まぁ~、でも採点競技ってものは、なかなか僕の中では納得いかないですね。何であんなのを人に決められなきゃならないの、と。もう少しいいやり方ないのかな、っていつも思います。

 男子のフィギュアで金メダルに輝いた羽生結弦くん(19)は、初出場のオリンピックで、いきなり頂点に立ちました。

 初出場だから思い切ってできた、ってのもあるでしょうね。ダメでも「次があるよ」って言ってもらえる強みがある。怖いもの知らずでできたと思うんです、SPまでは。でもああやって、とてつもない点数でトップに立つと、「金メダルを取らなきゃいけない」っていうプレッシャーから、フリーでは転んじゃう。

 ゴルフで言うと、最終日をトップで迎えて、スコアを崩して、でも勝った、みたいな。3日目までのリードが大きかった、と。あれがパトリック・チャン(カナダ)やエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)と1点以内の差で競り合ってたとしたら、どうなってたか。

 でも、どんな展開であっても勝ちきれたってのは、羽生くんが強い星のもとに生まれたということなんでしょうね。同じアスリートとして、それは強く感じました。これはね、勝負師にとってめちゃくちゃ重要なことです。人生を左右しますからね。

 真央ちゃんが3月の世界選手権後に引退する可能性があるんですってね。引退だろうが現役続行だろうが、彼女の決めたことが正解だと思いますよ、僕は。引退を決めても、それはそれでいい気がします。ボロボロになってズタズタになるまで、人のために頑張ることはないと思うし。もうこれまで十分、ファンのみなさんのために頑張ってきたはずだから。

 もし引退するなら、今後は自分のために、楽しく、魅せるスケートの道にいけばいいんじゃないでしょうか。真央ちゃんなら、お客さんもいっぱい来てくれるだろうしね。

週刊朝日  2014年3月14日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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