東日本大震災後に、ストレスや持病の悪化などで亡くなった場合、<震災関連死>とされ、市町村の審査会から認められると、遺族に最高500万円の災害弔慰金が支払われる。しかし、その「認定率」に自治体によって大きな差が出ていることが最近、問題になっている。フリーライターの山川徹氏が実態を取材した。

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 例えば、福島県の場合は昨年11月末に<震災関連死>が1605人となり、直接死の1603人を上回った。だが、岩手県と宮城県では、直接死の1割にも満たない。日本弁護士連合会が昨秋公表したアンケート結果でも、認定率は福島県75%、宮城県66%、岩手県39%。

 なぜ、ここまで差がついてしまうのか。その理由を「審査の方法に明確な基準がないから」と岩手県陸前高田市にある「いわて三陸ひまわり基金法律事務所」の在間文康弁護士(35)は見る。

 通常、審査会の委員は5人程度で、医師や弁護士、行政関係者らで構成されることが多い。岩手県では多くの市町村が審査を県に委託し、地元で判断されない。日弁連の調べでは岩手県に委託された関連死1件あたりの審査時間は4.3分。3県の平均7.2分に比べて極端に短い。

 在間弁護士は昨年12月以降、岩手県山田町の審査委員を務めているが、

「県に委託されない申請を取り扱う私たちは、審査に1時間以上かけたり、追加の資料を取り寄せて次に持ち越したりして判断することもある。だが県に委託している自治体分は、被災地の実情とかけ離れた判断が短い時間に下され、結果、認定率が低くなることも考えられます」

 さらに疑問視されているのは、震災から半年以降で<震災関連死>を認定される件数の少なさだ。特に昨年9月末までに市町村から宮城県に委託された申請は1件で、認定は0だった。

「<震災関連死>について周知されていなかったり、自治体窓口で受け付けてもらえなかったりする可能性があります」(在間弁護士)

 自治体ごとに認定率に差がつく不公平を招く一因とされるのが、04年の新潟県中越地震で用いられた「長岡基準」だ。<震災関連死>を、(1)震災後1週間以内ならそのように推定(2)1カ月以内はその可能性が高い(3)6カ月以上経過した場合はそうではないと推定、などと一つの指標になっている。

週刊朝日  2014年3月14日号