掘り出したばかりのウコン (c)朝日新聞社 @@写禁
掘り出したばかりのウコン (c)朝日新聞社 @@写禁

 手っ取り早く肝臓をいたわるにはウコン――そう信じている人も多いだろう。二日酔いや悪酔いの防止にドリンク剤をゴクリ。ところが、そのウコンに多数の健康被害が報告されている。

「ウコンは安全性の高い食品と考えられますが、一部の人では肝障害を起こす可能性もあり、注意が必要です」

 そう話すのは名古屋大学大学院医学系研究科教授で肝臓病、免疫疾患を専門とする石川哲也医師だ。石川医師らが2003年、日本肝臓学会の会員718人を対象に行った全国アンケート調査によると、健康食品が原因の肝障害34例中、ウコンを含む食品で6例、ウコンと他の健康食品の組み合わせで2例と、肝障害を招いた原因食品のトップがウコンだった。

 ウコンと言えば一般に、飲酒の前に摂ると二日酔いしない、悪酔いしないとされ、ドリンクやタブレットなどの関連商品も数多く販売されている。宴会の前に、ウコンドリンクをゴクリと飲み干すサラリーマンやOLは少なくないだろう。半ば妄信されているウコン神話だが、冒頭の調査結果を見ると不安がよぎる……。

 同様の調査は、薬物性肝障害研究で知られる済生会今治医療福祉センター長の恩地森一医師らも行っている。04年、大学病院など全国14施設にアンケート調査した結果、69種類の原因食品中、ウコンの被害が117例中29例と最も多かった。ここでは3例の死亡が見つかっていて、うち1例がウコンによる急性肝炎から多臓器不全に至った死亡例だった。

週刊朝日  2014年3月7日号