2月6日に成立した13年度の5.5兆円の補正予算の中で、昨秋に政府の行政改革推進会議が行った「行政事業レビュー」により削減されたはずの事業が続々と復活していたことがわかった。

 レビューは、民主党時代に始まった「事業仕分け」を受け継いだもの。税金の無駄遣いを外部の有識者が検討した結果、14年度の予算案から4574億円が削減された。

 ところが、なんと削減対象となったうちの少なくとも9つの事業が、13年度の補正予算の中でまるで“ゾンビ”のように復活していたのである。9事業の合計額は3646億円。これでは、何のために「レビュー」をしたのかわからない。民主党政権で事業仕分けを担当した蓮舫参院議員はこう怒る。

「もう、怒りを通り越して呆れました。民主党政権の事業仕分けを声高に批判した人たちが、自分たちの内閣では、カットした予算の8割を復活させている。これがゆくゆくは各省庁の埋蔵金になっていくのです」

“ゾンビ予算”の問題は、2月4日の衆院予算委員会で、民主党の玉木雄一郎衆院議員によって追及された。いずれも、復活の経緯は不可解だ。

 例えば厚労省の「地域若者サポートステーション事業」は、地方自治体の似たような施設と“ダブリ”状態だったため、《事業に終期を設けるなど事業の出口戦略が必要》と、予算0円にされていた。厚生省育成支援課の担当者は復活の理由を、「指摘は事業内容の改善を促すもので、事業そのものを廃止しろということではなかったと思います」と説明するが、そもそも不要な事業と判断されたはずではなかったのか。

 こうした事業は単に無駄というだけでなく、各省庁の「埋蔵金」になっていく。

 経産省の「地域商店街活性化事業」には、13年度の補正予算で、 53億円が計上されている。だが、この事業には12年度の補正予算で100億円が投入されたものの、これまで約半分しか使われず、47億円もの大金が余っているのだ。

 そして、これらの余ったカネが国庫に返されることは、決してない。「全国商店街振興組合連合会」が運営する基金にプールされ、翌年度以降に持ち越される。こうした基金が、官僚の“へそくり”として機能しているのである。結いの党の柿沢未途衆院議員がこう指摘する。

「補正予算は本来、緊急性の高いものが対象なのに、使い切れない計何百億ものお金を基金に積んで、官僚の天下り団体に管理を任せている。アベノミクスは斬新なことをやっているように見えて、あいも変わらぬバラマキをやっているに過ぎないのです」 

 アベノミクスと増税のどさくさの陰で、結局、得をしたのは官僚たちだった。

週刊朝日 2014年2月28日号