街をリクルートスーツで練り歩き、時間を見つけては説明会に参加する――。年々ますます“激戦化”する学生たちの就職活動だが、受け入れる企業の採用担当者たちは、どんな学生を求めているのか。実際の面接やエントリーシートでは、何を見ているのか。大手企業の採用担当者たちに、ホンネを語り合ってもらった。

――どのような学生を採用したいですか?

電機:うちの会社が作っている製品やサービスに強い興味がある学生、うちの会社に入って何をやりたいかがはっきりとしていて、こだわりを持っている学生を採用したいですね。

銀行:経済状況の変化に柔軟に対応できる学生、与えられた役割を受け入れて果たせる人が銀行で活躍できる人ではないかと思います。

出版:おもしろいこと、新しいことをやろうと考える、やりたいことがいっぱいある、そんな学生に入社してほしいです。編集者や記者は作家、漫画家、取材相手と話しますので、人が好きで、人と話すのが苦にならないことも求められます。

建設:私たちが手掛けるモノ造りは、お客様や専門工事会社など、多くの方々と仕事を進めますから、相手を尊重してチームワークを大切にする姿勢、コミュニケーション能力を持った人に入社してほしい。

――では逆に、こんな人はいらないというのは。

 

電機:困るのは、業界のトップならどこでもいいという学生。エントリーシートや面接がどこでも通用する話だと、うちの会社に対する思い入れ、強い意志、こだわりといったものを感じられません。

銀行:以前は、業種・企業ごとに自分がやりたいことをある程度考えている学生が多かったと思いますが、数年前から、ブランドで企業を選んでいる、具体的にはさまざまな業種の有名企業ばかり受ける人が増えてきました。業種別に志望動機を変えているようです。「入行して何をしたいか」を尋ねたとき、「なんでもいいです」と答える人や、「どこか入れるだろう」といった態度で真剣味が足りない人には、残念な気持ちになります。

出版:うちもそうですね。以前は、マスコミに強い志望を持っていて、マスコミだけを受ける学生が多かったのに、今はほかの業種も受験する人が多い。第2、第3志望でも最初に決まったところに決める学生も少なくない。早く安心したいんでしょうね。また、説明会のときに、作者や漫画家に関する質問をする学生もいます。読者としてのファンはありがたいのですが、憧れや趣味だけでの受験はちょっと困ります。

建設:仕事は相当ハードで、困難な場面に直面することも多いため、何事も最後までやりぬく力が必要です。途中で物事を投げ出してしまうような学生、コミュニケーションを取ることを嫌う学生は向きません。

週刊朝日 2014年2月28日号