先日まで“あまちゃんファン”を日本中に増殖させ、一大現象を巻き起こしたNHK朝の連ドラ。いま放送中の「ごちそうさん」も安定して高視聴率だ。ヒロインはこれまであまり描かれてこなかった「専業主婦」。浮気・子育て・嫁いびりなどベタな王道ネタ展開に、視聴者からは賛否両論だ。

 例えば、1月14日に放送した、子育てをテーマにしたシリーズ「アイスる力」。困った行動を繰り返して小学校を停学になった娘のことを相談した妻に、夫は怒鳴り返す。

「あなたの相手は、子どもやないですか! しかも、かいらしい実の子やないですか。何を甘えたこと言うてはるんですか!」

 仕事の忙しさにかまけて子育てを妻任せにする夫に、多くの女性視聴者が自らの日常を重ねたのか、非難の声が相次いだ。

 こうした“論争”につながる火種を、実はNHKが意図的に仕掛けている節がある。

 例えば番組公式サイト上のコーナー「おんなの小言・おとこの小言」。週ごとに完結する1シリーズの中から一つだけ台詞を選び、「共感できる」「できない」を視聴者に投票させて、その結果を棒グラフで示す。

 2013年11月22日の放送では、縁談を持ちかけられて困惑する義妹に、義姉が「何もせんうちから自信なんかできますかいな。そんなもんは嫁に行って、何やかんや動くうちに出てくるもんです」とピシャリ。これには56%が「共感できる」と回答していた。

 また、1月14日放送のシリーズ「今日でおわカレー」では、夫への不信感を募らせるヒロインに友人男性が放った、「ええやんけ。浮気の一つや二つ」。8割以上が「共感できない」と答えた。

「おわカレー」は、悠太郎が好意を寄せる亜貴子の自宅に招かれてカレーを振る舞われながら、妻のもとへ戻った場面で終わる。妻のカレーを口にした夫の一言。

「僕はたぶん、どんなカレーを食べても、あなたのカレーを思い出してまうんです。あなたのところに戻ってきてしまうんです」

 料理上手な妻にガッチリ胃袋をつかまれ、最後はキスで仲直り――。そのあまりにひねりのない展開に賛否両論が渦巻いた。

週刊朝日  2014年2月21日号