突然の出直し選挙を宣言した橋下徹・大阪市長(44)は2月7日、辞職願を市議会に提出し、3月16日か23日の市長選実施が固まった。

 当初、対立候補を出さず、橋下氏に独り相撲をとらせる作戦だった市議会の自民・公明・民主・共産の各会派だったが、共産党の本部が「野党統一候補を出して戦うべき」と強硬姿勢を打ち出し、同党大阪府委員会も他会派に協力を呼びかけ始めた。

「共産党本部ナンバー2の書記局長に先月、大阪を地盤とする山下芳生参院議員が就任し、やたらと張り切っているようです。市議は『今さら方針転換は無理』と消極的ですが、他の府委員会メンバーは統一候補の擁立に向け、水面下で他党との交渉を始めています」

 昨年9月の堺市長選では橋下氏が擁立した新人候補と、自民・民主・共産が支援した現職の一騎打ちとなり、現職が圧勝した。

 野党候補を一本化すれば橋下氏でも怖くはない――共産党はそう考えているようだが、自民党大阪府連の幹部は冷ややかだ。

「橋下さん本人は何だかんだいって強い。小差でも勝ったら鬼の首を取ったように『民意を得た』と住民投票の実施も迫るはず。今回は放っておけばいいんや」

 しかし、別の府連幹部は共産党の考えに理解を示す。

「支援者から『何で対立候補を立てないのか』という苦情は多い。先日の読売新聞の世論調査では『橋下市長の辞職を評価しない』という声が60%を超えた。市長への批判は想像以上に多い。前回の市長選で自民・民主・共産で支援した平松邦夫前市長の擁立を検討してもいいのではないか」

 民主党府連のある幹部も、

「橋下氏が任命した複数の公募区長の更迭の詳細も近く明らかになる。方針転換を考えるべきではないか」

 と言いだした。

 前回11年11月の市長選では、橋下氏75万票に対し、平松氏は52万票。だが、「橋下氏に会見で『人の道に反する』と罵倒された公明党は全面的に平松氏に乗る。間違いなく接戦になる」(同じ民主党幹部)と言う。

 一転、“刺客”に浮上した平松氏は本誌の取材に、

「橋下市長のでたらめな政策に自分を含めた市民が振り回されている。チャンスがあれば立て直したい。ただ今回は放っておく」

 と答えた。

※週刊朝日 2014年2月21日号