少子化で今年も受験人口は減り、センター試験の出願者は昨年より1万2674人も少なかった。

 受験生集めに多くの大学が導入しているのが、一つの試験で複数学部の受験ができる「統一入試」。

「学部にこだわらず、○○大学に入りたい」という受験生にとっては、1度の試験で複数学部を受験できる。一般の学部別入試と併願して、同じ大学の同じ学部を2度受験することも可能だ。大学によっては、2学部目から受験料割引、同一学部の併願割引などの“値引き”もある。

 代々木ゼミナール入試情報センター統括本部長の坂口幸世(ゆきとし)氏が説明する。

「今年から日本大が法学部、理工学部、歯学部など9学部で統一入試を実施しました。07年に明治大が全学部統一入試を始めたところ、3年後に早稲田大を抜いて志願者数日本一になった。今年は、早稲田大、明治大、近畿大、日本大のうち、どこが志願者数日本一になるか注目しています」

 一つの試験が多くの学部の受験になるため、大学側にとっては受験者が増え、受験料収入も増える。いわゆるMARCHや関関同立と呼ばれる有名私立大でも実施が広がっている。

 日本大では「N方式」と呼ぶ9学部の統一入試を2月1日に初めて実施。東京、千葉以外の全国10都市でも受験でき、1日の志願者数は6289人に達した。

「2月1日という早い時期に地方でも受験できたことで、たくさんの方に受験いただけました。とくに理工学部、工学部など理系3学部が1日で受験できたため、併願しやすかったと思います。法学部はここのところ低迷して昨年の志願者数(第1部)は8917人でしたが、今年はN方式で1179人の志願者が集まり、まだ締め切っていない1月30日現在で8304人です。この数字はN方式のおかげだと思います」(入学課担当者)

 受験生集めのため、やはり導入が進むのが「インターネット出願」だ。

 近畿大は、昨年始めたネット出願の受験料が紙出願より3千円安いこともあって人気を集め、今年は紙の出願はなくなり、ネット出願に完全移行した。

 代々木ゼミナールの調べによると、今年、一般入試のネット出願を実施したのは85大学で、そのうち30大学で紙出願より受験料が安い「ネット割」を行っている。このうち、前出の近畿大のほか、東洋大、武蔵野大、中京大はネット出願のみだ。

 駿台予備学校情報センターセンター長の石原賢一氏は次のように語る。

「ご家庭で受験料の予算が決まっているのだとしたら、ネット割などの割引があると受験しやすくなります。ネット出願は、今後ますます増えていくでしょう」

週刊朝日  2014年2月14日号