「ふわっとした民意」はどれぐらいあるか (c)朝日新聞社 @@写禁
「ふわっとした民意」はどれぐらいあるか (c)朝日新聞社 @@写禁

 1月31日、大阪府庁内で開かれた「大阪都構想」の制定設計を話し合う法定協議会。大阪市を分割して作る特別区の区割り案について各会派とともに公明党も反対。大阪維新の会の“金看板”である都構想が、想定どおり来春に実施できるか厳しくなった。

「公明党との約束、これは約束違反だと。いろいろ公明党のみなさん、人の道を説くし、公明党の支持基盤のみなさんは宗教を説いていますが、宗教の前に人の道があるんじゃないかと僕は思っています」

 2月1日に都内のホテルで行われた日本維新の会の党大会で、共同代表の橋下徹大阪市長(44)がこう語りかけると、会場から大きな拍手が起こった。公明党の“約束違反”を理由に、大阪市長の出直し選挙に打って出ると宣言したのだ。

 橋下氏の言う「公明党との約束」とは何か。2012年の衆院選の際、公明党が小選挙区で候補者を立てた大阪4、兵庫2の計6選挙区で、維新の会は擁立を見送り選挙協力した。維新側は、都構想で公明党が協力する“約束”を取り付けていたという。

 これまで、橋下氏と公明党は蜜月関係で知られていた。橋下氏が08年1月の大阪府知事選に立候補する際も、公明党の支持母体である創価学会からの後押しがあったのは公然の秘密。維新が過半数を制していない大阪市議会でも、公明党は維新の“補完勢力”となっていた。ところが自民党が政権に復帰すると、「自公」路線にジワリ軸足を移した。

 出直し選は公明党や他党にとっても寝耳に水だった。橋下氏の表明直前まで、「国政にも影響する選挙を、いまできっこない。勢いもないし、ブラフや」(大阪の公明党関係者)という見方が大半だった。維新の会は、13年9月の堺市長選で惨敗。さらに朝日新聞などの同年11月の世論調査でも、大阪都構想は賛成32%、反対37%だった。

 野党再編のカギを握るとも言われてきた橋下氏だけに、結果次第では維新のみならず他党への影響も大きい。維新内部からも「傷つく可能性があることはしてほしくない」(幹部)との声が出ているが、引き留める声は皆無だったという。

 11年11月の府知事選とのW選では、自民党から共産党まで相乗りした現職に勝った橋下氏。このとき自主投票を決め込んだ公明党をも相手にして、前回の再現となるか。

※週刊朝日 2014年2月14日号