1月31日夕、JR新橋駅前を埋め尽くした「細川・小泉劇場」の聴衆(撮影/写真部・東川哲也)
1月31日夕、JR新橋駅前を埋め尽くした「細川・小泉劇場」の聴衆(撮影/写真部・東川哲也)

 投開票を9日に控えた都知事選。細川陣営は正念場を迎えている。本誌は報道4社の世論調査、期日前投票の出口調査の結果を入手。依然として1位の舛添要一氏(65)に細川氏は大差をつけられていた。

 例えばA新聞では舛添45%、宇都宮18、細川17、田母神14。B新聞では舛添26、細川13、宇都宮7、田母神6。C通信は舛添37、細川16、宇都宮14、田母神7。テレビ局Dは舛添39、細川17、宇都宮10、田母神7。

 ブレーンの一人はこうため息をつく。「細川氏が宇都宮氏を引き離せば一本化の話もできたが、この状況では厳しい」。

「かつて電事連の安全神話に騙された」と訴えた小泉氏の劣勢を見透かすように、電事連(電気事業連合会・会長は八木誠関西電力社長)が永田町で蠢(うごめ)きだした。

 2月以降に閣議決定されるエネルギー基本計画に関する自民党内の議員アンケートで、電事連が原発再稼働、原発新増設の必要性などを訴える模範回答例の文書を議員らに配り、原発推進を根回ししていたことが発覚したのだ。

 奇妙なのは、街頭演説の盛り上がりが世論調査の結果と全く一致していないことだ。1月29日午後、舛添氏がJR吉祥寺駅前で行った街頭演説に集まった聴衆は300~400人。

 だが、直後に同じ場所で行われた細川・小泉コンビの演説には作家の瀬戸内寂聴氏も応援に駆け付け、約2千人の聴衆が集まった。SPの数も圧倒的に多い。

「皆さんの顔を見たら、段々、若返ってきた!」

“年齢ネタ”を頻繁に持ち出す小泉氏に、笑いや大きな拍手が巻き起こった。街頭での集客力に限れば、「細川・小泉劇場」の圧勝なのである。

 なぜ、それが数字に結びつかないのか。細川氏への応援を表明した作詞家のなかにし礼氏は31日、こう不信感を露(あらわ)にした。

「マスコミに対して、大変、自民党からの圧力が強いと聞いている。池袋駅前の細川氏の演説に集まった1万の聴衆を前に、ある記者は『300人は集まっていますかね』と言ったらしい」

※週刊朝日 2014年2月14日号