田原総一朗「小泉・細川コンビの真の狙いは『脱原発国民運動』だ」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「小泉・細川コンビの真の狙いは『脱原発国民運動』だ」

連載「ギロン堂」

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 いよいよ投開票まで1週間を切り、間近に迫った東京都知事選。ジャーナリストの田原総一朗氏は、小泉・細川の元首相コンビの狙いは「脱原発国民運動」だったのではないかと予測する。

*  *  *
 2月9日の投票日に向けて、東京都知事選の街頭活動が活発に展開されている。主要候補者は、前日本弁護士連合会長の宇都宮健児氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏、元首相の細川護熙氏、元厚生労働相の舛添要一氏、そして若手IT起業家の家入一真氏などの諸氏である。

 宇都宮、細川の両氏は特に「脱原発」を強く主張しているが、「東京には原発がなく、原発を都知事選の論戦の中心にすえるのは間違いだ」という意見が少なくない。だが、私はそうは思わない。東京は日本最大の電力の消費地域であり、しかも、東京で使う電力の原発部分を福島と新潟に押しつけているのである。だから、原発論戦は大いにやるべきである。

 しかし、私は今回の都知事選のあり方には、少なからぬ違和感を抱いている。

 まず、告示前日の1月22日に日本記者クラブで主要候補者たちの共同記者会見が予定されていたが、これが中止となった。細川氏が、「日程上の都合」を理由に参加を断ったためである。

 この原稿を書いている1月30日時点まで、どのテレビ局の報道番組でも、主要候補者たちによる共同討論会は実施されていない(30日午後の日本テレビで、出演者間の討論は一切なしの形で、4候補者がそろった)。

 いやしくも都知事選に立候補して都知事になることを考えているのならば、都知事になってどのような都政を行うのか、特にどのような政策に力点を置くのかを都民に話さねばならないのは当然であり、他の候補者たちと正面から討論し合うべきではないか。論戦が行われることで、どの候補者が知事にふさわしいかの都民の判断のヒントにもなるはずである。

 ちなみに細川氏は、「東日本大震災以降の日本の政治に、いてもたってもいられなくなった。だから、二度と政治の世界には戻るまいと思っていたのを、あえて打って出たのだ」と述べている。あるいは共同討論というかたちが嫌いなのかもしれないが、都知事になれば都議会も開かれ、さまざまな政党の議員との討論をせざるを得ないはずである。

 念のために記すが、31日の夜の「朝まで生テレビ!」も主要候補の共同討論を企画し、候補者たちに出演依頼をしていたのだが、細川陣営の了解がとれなかった。私は、共同討論を避けるのは弱みがあって逃げているようで損ではないかと、余計な心配までしてしまった。だが、どうやら、私の誤解だったようである。

 細川氏、小泉氏の元首相コンビの真の狙いは、都知事選という舞台をフルに使って、「脱原発の国民運動」を展開することだったのではないか。特に小泉元首相にとっては、昨年11月12日の日本記者クラブでの演説を第1弾だとすると、それに続く都知事選は効果満点の第2弾であり、選挙にとって損か得かなど、考えていないのであろう。そして細川氏は、自ら都知事選の候補者になることで、小泉氏の「脱原発国民運動」に全面的に協力しているということではないのか。とすると、小泉・細川コンビの狙いは、大当たりということになる。

 こうなると、大いに気になってくるのは、小泉氏が都知事選後に、いかなる第3弾を考えているのかである。当然ながら、第2弾以上の爆発的効果を狙っているはずである。

※週刊朝日 2014年2月14日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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