伝説のディーラー・藤巻氏 安倍政権のインフレ目標が「残念」な理由

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

 安倍晋三政権は「2年で物価上昇率2%を目指す」と明言している。しかし、モルガン銀行東京支店長などを務めた伝説のディーラー・藤巻健史氏は「このインフレ目標を間違い」だとして、「残念だった」と話す。

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 インフレとは給料や日用品の物価が上がること。消費者物価指数(CPI)や、物価の動きを示すGDPデフレーターといった指標はこちらである。

 一方、株や不動産のような資産の価格が上昇する「資産インフレ」は円安によって簡単に作り出せる。円安で国際競争力が回復した企業の業績が向上するから、株価が上昇する。同時に外国人労働力が相対的に高くなるので、企業は工場を日本国内に戻す。だから不動産価格も上がるのだ。日銀は1月22日の金融政策決定会合で、「2年で物価上昇率2%」を目標とする金融政策の維持を決めた。CPIの目標だ。

「景気がよくなれば、まず間違いなくインフレになる」は成立しても、逆の「インフレになると景気がよくなる」とは必ずしも言えない。スタグフレーション(景気低迷下のインフレ)という言葉があるくらいだ。

 本気になればインフレなど簡単に作り出せる。電気代、ガス代、交通費などの公共料金を値上げすればよいからだ。しかしそれでは景気は決してよくならないのは自明だろう。

 安倍政権は「インフレ」ではなく、税制改革などで簡単にできる「資産インフレ」をターゲットとすべきだったと、私は残念に思う。

週刊朝日 2014年2月7日号

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藤巻健史

藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。2013年7月の参院選で初当選。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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