現在放映中のWOWOWドラマ「血の轍(わだち)」では、組織を守るために冷徹な態度を貫く公安部員・志水を演じている、お笑いグループ・ネプチューンの原田泰造。

 役者の顔、バラエティーの顔。そのふたつを、ここまで違和感なく使い分けている人も珍しい。シリアスもコメディーも、主役も脇役も。作品のジャンルや役柄の大小を問わず、いつも絶妙の存在感を発揮する。

「子供の頃の夢は、“テレビに出る人になること”。子役に憧れて、児童劇団に入りたいなぁなんて思ったりして。でも、その割に恥ずかしがり屋で、人前で自分を表現する歓びに目覚めたのは、この世界に入ってからです」

 お笑いの先輩の中でも、とくに影響を受けたのはウッチャンナンチャンだった。内村さんと南原さんの2人は、コントでも常に役になり切るタイプ。そんな先輩の背中に憧れを抱きながら追いかけてきたせいか、本格的に芝居の世界に足を踏み入れたとき、原田さん自身、コントと芝居の差をとりたてて感じたりはしなかったという。

「ただ、コントの場合、本番でそこにいる人全員を爆笑させたいから、リハーサルでは自分たちの武器を見せない。でもお芝居だと、リハーサルから役者さんが100%の力を出してくるんです。女優さんなんか、リハーサルから泣くものだから、よく、『もったいないなぁ、本番までとっておけばいいのに』って思いました。そうしたら、女優さんは本番もちゃんと泣くんですね。あれにはビックリしました(笑)」

週刊朝日 2014年2月7日号