私が「10回服役、44年間刑務所暮らし」の男の身元引受人になった理由 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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私が「10回服役、44年間刑務所暮らし」の男の身元引受人になった理由

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 知的障害または精神疾患がある人が微罪を重ねて何度も刑務所へ行くケースが増えている。受け皿づくりが急務のなか、NPO法人北九州ホームレス支援機構理事長の奥田知志さんは彼らの責任だけを問うのは問題だとこう話す。

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 1988年から北九州を中心にホームレス支援をしています。炊き出し、居住支援、就労支援、最近は子どもの貧困対策として学習支援もはじめました。

 2006年1月、JR下関駅が放火されました。犯人は当時74歳の男性で、刑務所出所後8日目の犯行でした。22歳で最初の放火事件を起こし、それまでに10回服役、実に44年間を刑務所で過ごしてきました。彼は、過去の公判で知的障害を何度も指摘されていますが、いまも療育手帳を取得できていません。裁判は法務省、障害福祉は厚労省。制度の狭間に置かれてきたのだと思います。

 彼は事件直前まで北九州にいました。「出会っていれば……」という悔いもあり、下関署を訪ねました。「お金も行き場もなく、刑務所に戻りたかった」が放火の理由でした。8日間の足取りを追うと、警察、病院、役所と接点がありましたが、彼を引き受けるところはなかった。放火は犯罪です。しかし私たちは他の選択肢を彼に示すことができなかったのです。あの日、彼にとって帰る場所は刑務所だった。


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