本人不在の中、子どもに代わって親が結婚相手を探す「親コン」。結婚相談所「マトリックス」がホテルのパーティー会場で開く「親の代理婚活交流会」に、ノンフィクションライターの黒川祥子氏が潜り込み、取材した。

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 同会で息子の婚活中の羽田優子さん(仮名・66歳)は、これまで3回、親コンに参加した。

「息子は今、35歳。とにかく早く結婚して落ち着かせたい。工学部から就職もすんなり決まり、何の苦労もしていないから、のんびり息子なの。エネルギー関連の仕事をしていて、収入も安定しているから、毎回、4~5人から身上書を交換してくれって言われるの。技術を持っているのが強みになっているみたい」

 だが、実際のお見合いにこぎ着けたのは、一度だけだという。

「向こうの母親が息子を気に入ってくれて、4人で会ったんだけど……。広島で暮らしている肝心の娘さんが東京に来るつもりはない、結婚するつもりもないって。娘さんを東京に呼びたかったみたい。まあ、次々に申し込みがあるからいいやって」

 別の女性の父親からは、「ぜひ、娘と会ってください」と電話もあった。

「相手の娘さんは、4人姉妹の長女だったの。おっとりした、控えめな子。息子に合うのは積極的な子だと思って、勝手に断っちゃった。4人姉妹の長女の旦那さんは大変だし」

 息子は親の代理婚活をどう見ているのかと聞くと、「『やるよ』って言ったら、『いいよ』って。素直な息子だから、私が『この人だ!』って押したら、『うん、いいよ』って言いそう」。

 羽田さんに、嫁選びの基準はあるのだろうか。

「素直な性格は外せない。根が真っ直ぐな子。そこだけは、私が見たいと思う。それは話しているとわかるし、親を見ればわかる」

 同じ親として、参加者をこうも見ている。

「皆さん、裕福で生活に困っていない。子どもは美男美女揃いで、結婚しなくても困らない人たちばかりなんです」

週刊朝日 2014年1月24日号