小久保英一郎さん(右奥)と三浦しをんさん(左手前)の対談の様子(撮影/写真部・関口達朗)
小久保英一郎さん(右奥)と三浦しをんさん(左手前)の対談の様子(撮影/写真部・関口達朗)

 いまだに謎の多く残る宇宙。先日、行われた作家の三浦しをんさんと国立天文台教授の小久保英一郎さんの対談講座では、宇宙に関する素朴な疑問が解き明かされた。そのなかで月に関しての質問も出たが、その存在理由はいまだ解明されていないという。

*  *  *

小久保:4番目の質問「月はなぜあるの?」ですが、これはいまだに問題なんです。

三浦:え! 当然、解明されていると思っていました。

小久保:僕は月がすごく好きで研究もしています。昨年、ロンドンで「月の起源会議」というのがあって、世界中から月の起源を研究している人が集まったんですが、最終的に「やっぱ難しいね」って(笑)。

三浦:それが結論(笑)。

小久保:ただ、地球への最後の原始惑星の衝突で散らばった破片が、重力で合体して月になったという方向は示されている。

三浦:地球ができた過程のミニ版みたいな感じですね。

小久保:ええ。このシナリオを、巨大衝突、ジャイアントインパクト説と言います。ちなみに月ができる時間をコンピューターでシミュレーションしたら、1カ月くらいで1個の月ができることがわかったんです。

三浦:そんなにすぐできちゃうんですか。

小久保:だから、ひと月でひと月できる……今は「しーん」ですけど、発表した当時は温かい反応がありました。

週刊朝日 2014年1月24日号