事前に漏れることなく、参拝は静かな環境で行われた。うるさくなるのはその後から…… (c)朝日新聞社 @@写禁
事前に漏れることなく、参拝は静かな環境で行われた。うるさくなるのはその後から…… (c)朝日新聞社 @@写禁

 今年の安倍政権は、己の体力を削りながら、耐えに耐え抜く持久戦を強いられそうだ。体力の温存をはかりながら、来年以降に手掛ける憲法改正に備えることになる。

 その文脈で考えると、安倍晋三首相(59)が誕生してからちょうど1年である12月26日の靖国参拝は、首相にとって極めて“省エネ”な状況のもと行われた。

 そもそも第1次安倍内閣時代に参拝できなかったことを首相は「痛恨の極み」と表現。「首相就任から1年以内には必ず参拝する」と側近に漏らしていたという。政治的信条が全く揺らいでいない姿を内外にアピールする、またとない機会となった。

 そして靖国参拝と“密接不可分”である中国、韓国との関係について、ある閣僚はこう解説する。

「中国船による尖閣諸島周辺の領海への侵入と、防空識別圏の一方的な設定。そして韓国のエスカレートしていく反日政策。参拝しても世界でこの2国しか本気で反発しないのだから、ここで“倍返し”してしまえということだ」

 直前には南スーダンで、国連平和維持活動(PKO)を展開中の韓国軍に、日本が銃弾1万発を提供。にもかかわらず礼すらない韓国へ、政権内や世論の不満は高まっていた。

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