難航しているTPP交渉。担当の甘利明経済再生相は舌がん入院から復帰した (c)朝日新聞社 @@写禁
難航しているTPP交渉。担当の甘利明経済再生相は舌がん入院から復帰した (c)朝日新聞社 @@写禁

 安倍政権発足から1年が経過した。2014年は早々からいくつもの関門が立ちはだかる試練の年になりそうだ。

 次はTPP交渉が待ち受ける。予定では昨年12月に妥結するはずが越年。次の閣僚会合は2月になる見込みだ。

 日本はコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物(サトウキビなど)を聖域5項目とし、一貫して関税維持を主張している。一方で米国は関税撤廃の姿勢を崩してはいない。

「重要なのは5品目だけではない。党が決めたのは5項目“等”であって、こんにゃくや鶏肉なども入っている。それぞれの選挙区に生産農家を抱えており、妥結の仕方によっては政府に対して声を上げざるを得ない」(農林族議員)

 TPPへの参加をにらみ、政権は同時に農業政策の大転換にも手をつけた。農家の大規模化を促進するため、18年度をめどに減反を廃止するのだ。

 しかしこれまで減反によってコメの価格を維持してきた各地のJAは、一斉に反発している。

「もうすでにコメはどんどん作りたい放題だという雰囲気になっている。グリップが緩み、生産高が上がって価格が下がる懸念も広がっている。新年度予算案で農林水産関係予算は前年度比で1.3%の増額となり、手当てをしてもらったが、将来的な不安は付きまとう」(同前)

 同じ自民党の支持団体である医師会に対しては配慮があったのに……という不満の声もあるのだ。

「制度も何も変わらず診療報酬は0.1%の増加。医師会は守るのに、反対するJAを押し切って減反廃止。説明がつかない」(同前)

 そして4月1日には、8%への消費増税が待ち受けている。

 徳洲会病院の公職選挙法違反で、3月15日までに徳田毅衆院議員(42)が連座制の適用や辞職で議員の身分を失った場合、4月27日に衆院鹿児島2区補選が行われる。

「消費税引き上げ直後の国政選挙となり、有権者の増税批判を一気に浴びるおそれがある。本当は民主党も合意して決めたことだけど、そんなことは誰も覚えてやしない。地元の県議や市議らにも資金が渡ったという話が出ており、表立って党の組織は動けない。相手次第ではあるが、苦戦するかもしれない」(自民党関係者)

週刊朝日 2014年1月17日号