ハイレベルな代表選考を勝ち抜いた男子の羽生結弦(19)、町田樹(23)、高橋大輔(27)はいずれもソチ五輪でメダル圏内にいる。
なかでも、一歩抜けているのは羽生だ。全日本選手権の合計得点297.80は参考記録ながら、世界選手権3連覇中の“王者”パトリック・チャン(カナダ)の295.27を超える「世界新」。SPの歴代世界最高得点を2年連続で3度も更新しており、国際スケート連盟(ISU)の世界ランキング1位に立っている。
インスブルック五輪フィギュア代表で解説者の佐野稔さんも太鼓判を押す。
「今季、直接対決でチャンに勝っているのは羽生だけです。昨年12月のグランプリファイナルで4回転サルコーを失敗したのに、勝った。つまりサルコーが成功すれば、ほぼ確実にチャンに勝てるということです」
全日本選手権で2位に入った町田は、課題とされてきた勝負弱さを克服した。振り返れば本誌のインタビュー(2013年12月13日号)でも「4回転は難しくない」と、自信に満ち満ちた発言をしている。
朝日新聞スポーツ部の後藤太輔記者はその発言の真意をこう語る。
「これは『成功、失敗にとらわれすぎず、自分の世界を表現することを優先する』という意味ですね。自分の世界をつくることに専念することで、彼は緊張感を忘れられる。いわば演技の中に『引きこもる』方法を見つけたともいえます」
ギリギリで代表の座をつかんだ高橋を、金メダルの“本命”と見る向きも多い。フリージャーナリストの辛仁夏さんもその一人だ。
「プログラムの構成力、表現力では羽生より高橋が上でしょう。同じプログラムを何度見ても成熟度が高いので、観客は引き込まれてしまう。音楽との一体感や、自分の体で曲を奏でているような“魅了する演技”は外国人のジャッジからも高く評価されています」
※週刊朝日 2014年1月17日号